表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

届いた小包

春のそよ風に押されて、桜の花びらが足元を転がっていた。肩に強い衝撃が走る。

「どこ見て歩いてんだ!!」

酔っているのだろうか男性が怒声を上げ、そのまま歩いていった。私は驚きと恐怖に足を止めたが男性を横目にまた歩き出した。すると今度は肩にトンットンッと優しい感覚が伝わった。振り返ると先程とは違う男性が立っていた。

「あのこれ、落としまし……」

男性の声が突然途切れる。どうしたのだろうと思い顔をあげた瞬間。私の思考は止まった。

「このキーホルダー。まさかとは思ったけど、一花か……?」

高校生時代に大好きだった彼が、そこにいた。春の光のせいか彼の黒髪が少しだけ柔らかく見えた。

「……海空?」

「ほら、これ。」

「あ……拾ってくれてありがとう。」

キーホルダーを受け取る。高校生の時、バレンタインのお返しにもらったものだった。可愛くて、捨てる理由が見つからないまま、ここまで来てしまった。

「大切なものだから。なくさなくて良かった。」

「まだ、つけてるんだな。」

予想外の言葉に驚き言葉が出なかった。

「ご、ごめん私急いでるんだった。じゃあ……」

何とか言葉を絞り出しその場を去ろうとした時。

「待って。」

ぎゅっと裾を掴まれる。振り向くことも手を振り払うこともできなかった。

「……どうしたの?」

「懐かしくて。ごめん……じゃあな。」

私はその場から動けなかった。やっとの事で振り返るともう彼の姿はなかった。袖を掴まれた感覚だけが微かに残っている気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ