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VSロックヤック

翌朝。

俺、ダン、レオ、エド、アクス、そしてビルグの六人が、村を出発した。

「アリア、気をつけてな」

オルソンが見送ってくれた。

「村のことは任せろ。お前は無事に帰ってこい」

「ありがとうございます」

俺は剣を腰に下げ、背嚢を担いだ。

中には食料と水、それに簡単な道具が入っている。

「行くぞ」

ビルグが先頭を歩き出した。

ドワーフは背が低いが、足取りは力強い。

「ロックヤックの群れは、確か西の岩山にいたはずだ。三日あれば着く」

「三日か……」

レオが弓を担ぎ直した。

「久しぶりの遠出だな」

「気を引き締めろ。道中、魔物が出るかもしれん」

ダンが警戒しながら歩く。

アクスは黙々と斧を担いで歩いていた。

俺は【解析】を発動させ、周囲を観察した。

〈地面:乾燥――足跡残りやすい〉

〈木々:密集度低――視界良好〉

〈風向き:東から西――匂いは西へ流れる〉

情報が次々と流れ込んでくる。

この能力、戦闘だけじゃなく、旅でも役に立つ。


三日目の夜

岩山が見えてきた。

ゴツゴツとした岩肌が、夕日に照らされて赤く染まっている。

「あそこだ」

ビルグが指差した。

「ロックヤックの群れは、あの岩山の麓にいる」

「……見えるか?」

ダンが目を凝らす。

俺も【解析】で遠くを見た。

〈生物反応――大型、複数〉

〈距離――約二キロメートル〉

〈群れ――推定十五体〉

「いる。十五体くらいだ」

「そんなに遠くが見えるのか……」

レオが驚いた。

「お前の目、化け物かよ」

「化け物じゃない。ただ、見えるだけだ」

俺たちは岩山の麓へと近づいた。

そして――

「……でかい」

レオが呟いた。

目の前に、巨大な鳥がいた。

いや、鳥というより恐竜に近い。

体長は二メートル以上。

がっしりとした脚、鋭い爪、短い翼。

その翼には、長く鋭い爪が生えている。

羽毛ではなく、硬い鱗のような皮膚に覆われている。

「あれがロックヤックか……」

ダンが剣を握りしめた。

「確かに、飛べなさそうだな。だが、翼の爪が危険そうだ」

「ああ。ロックヤックの主な攻撃手段は三つだ」

ビルグが説明した。

「翼の爪で引き裂く、くちばしで突く、そして巨体での突進だ。特に翼の爪は鋭い。一撃で致命傷になる」

ビルグが群れを観察した。

「あそこに、ボスがいる」

ビルグが指差した先。

群れの中央に、一際大きなロックヤックがいた。

体長は三メートル近い。

他の個体よりも一回り大きく、筋肉が盛り上がっている。

「あれを倒せば、群れがついてくる」

「……どうやって戦う?」

レオが尋ねた。

「正面から行けば、蹴り殺されるぞ」

「俺が囮になる」

が強い。俺が挑発すれば、必ず向かってくる」

「その隙に、アリアが弱点を狙え」

「弱点?」

「ああ。俺たちが昔飼っていたロックヤックは、首の後ろが弱点だった。神経が集中しているからな」

「首の後ろか……」

俺はボスのロックヤックを【解析】した。

〈生物:ロックヤック――雄、推定年齢15歳〉

〈筋肉:脚部――出力最大〉

〈骨格:頑丈――直接攻撃は困難〉

〈首の後ろ――防御層が厚い?〉

「……首の後ろが厚くなってる気がしますが」

俺は眉をひそめた。

「でも、距離があるから細部まで見えない。もっと近づかないと……」

「なら、とりあえず首の後ろを狙ってみよう」

ビルグが言った。

「俺たちが飼っていたロックヤックは確かに首の後ろが弱点だった。個体差があるかもしれないが、試す価値はある」

「……分かりました」

俺は頷いた。

「戦いながら、詳しく【解析】します」


ロックヤック捕獲

ビルグが岩山に向かって歩き出した。

ロックヤックの群れが、こちらに気づく。

ボスが首を上げ、警戒の声を上げた。

「――グルルルル!」

低い唸り声。

ビルグが斧を掲げた。

「おい、デカブツ! こっちだ!」

ボスのロックヤックが、ビルグを睨んだ。

次の瞬間――

「――ギャアアアッ!」

ボスが突進してきた。

地面が揺れる。

巨体が、信じられない速度で迫ってくる。

「速っ!」

レオが驚きの声を上げた。

だが、ビルグは動じない。

ギリギリまで引きつけ――

「今だ!」

横に跳んで回避した。

ボスのロックヤックが、勢い余って通り過ぎる。

その瞬間――

俺は駆け出した。

【解析】が、全てを教えてくれる。

〈ロックヤック――速度:秒速15メートル〉

〈旋回まで――2秒〉

〈飛び乗るタイミング――1.5秒後〉

左足の義足が、地面を蹴る。

痛みはない。

俺は跳んだ。

ロックヤックの背中に――

「っ!」

着地。

硬い鱗のような皮膚が、足の下にある。

ボスが暴れた。

「――ギャアアッ!」

振り落とそうと、激しく体を揺する。

だが、俺は剣を鱗の隙間に突き刺し、体を固定した。

「首の後ろ――!」

俺は剣を振り上げ、首の後ろに斬りかかった。

――ガキンッ!

「!?」

剣が弾かれた。

硬い。鱗が、まるで鎧のように分厚い。

「やっぱり駄目だ! 首の後ろは完全に防御されてる!」

「アリア、危ない!」

ダンの叫び。

次の瞬間――

ボスが体を大きく振った。

「うわっ!」

俺は背中から振り落とされ、地面に叩きつけられた。

「ぐっ……!」

息が詰まる。

ボスのロックヤックが、こちらを向いた。

「――ギャアアッ!」

突進してくる。

「させるか!」

エドが盾を構え、前に出た。

――ドガァン!

ボスの頭突きが、盾に激突する。

エドが後ろに吹き飛ばされた。

「エドさん!」

「大丈夫だ……!」

エドは何とか立ち上がったが、盾には大きな亀裂が入っていた。

「……一撃でこれか」

「囮を増やすぞ!」

ダンとアクスが、左右から挟み撃ちにする。

ボスは混乱し、どちらを狙うか迷った。

その隙に――

俺は【解析】を集中させた。

〈ロックヤック――詳細解析開始〉

〈首の後ろ――防御最大、攻撃不可〉

〈背中――硬い鱗、攻撃困難〉

〈脚――筋肉が発達、攻撃しても致命傷にならない〉

〈腹部――鱗が薄い、だが届かない〉

〈目――視力が高い、攻撃しても致命傷にならない〉

〈翼――攻撃の要、長い爪が生えている〉

〈……待て〉

俺は、ある箇所に気づいた。

〈翼の付け根――関節部分、鱗の隙間〉

〈腱が集中――ここを切れば翼が使えなくなる〉

「翼の付け根だ!」

俺は叫んだ。

「関節の隙間を狙え! 翼を落とせば戦力が下がる!」

「了解!」

ダンが剣を構え、ボスの右翼に斬りかかった。

翼が振り下ろされる――その瞬間、付け根の隙間を狙う。

――ズシャッ!

「――ギィッ!?」

ボスが悲鳴を上げた。

翼の付け根から、血が流れる。

「効いてる!」

アクスも左翼を狙った。

斧が、関節の隙間に食い込む。

――ザシュッ!

「――ギャアアッ!」

ボスの左翼が、力なく垂れ下がった。

腱を切られ、もう上げることができない。

「両翼をやったぞ!」

ダンが叫んだ。

ボスは翼の爪が使えなくなり、攻撃手段が大幅に減った。

「今だ、アリア!」

レオが叫んだ。

俺は再び駆け出した。

ボスは翼が使えず、攻撃手段が限られている。

【解析】が、全てを教えてくれる。

〈ロックヤック――攻撃手段:突進とくちばしのみ〉

〈動きが単調化――回避可能〉

〈首の側面――防御が手薄〉

首の後ろじゃない。

側面だ。

俺は跳躍し、ボスの首に飛びついた。

そして――

剣を、首の側面に突き刺した。

――ズブリ!

「――ギッ……!」

ボスの動きが、止まった。

そして――

ゆっくりと、地面に倒れた。

「……やった」

俺は剣を抜き、地面に降りた。

ボスは、もう動かない。

群れの他のロックヤックたちが、こちらを見ている。

そして――

一斉に、俺たちの元に近づいてきた。

「おい、大丈夫か!?」

ダンが剣を構えたが、ビルグが手を上げた。

「大丈夫だ。敵意はない」

ロックヤックたちは、俺の周りに集まった。

そして、頭を下げた。

「……従ってくれるのか」

「ああ。お前がボスを倒した。だから、お前が新しいボスだ」

ビルグが笑った。

「これで、移動手段は確保できたな」

俺は十五体のロックヤックを見渡した。

こいつらがいれば、極東の聖地まで――

一週間で行ける。

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