プロローグ
魔法万能の世界で、彼だけが魔法を持たなかった。
〈天授の儀〉で“不適合者”の烙印を押された少年――レ・メーチ。
八年後、村を襲った魔族との邂逅が、彼の運命を大きく変えていく。
これは、剣だけを頼りに世界に抗い、自分を変えるために戦うひとりの“落ちこぼれ”の物語。
──このイングラシア大陸では、十歳になると“天授の儀”を受ける。
神に名を告げ、宝玉に触れるだけで、魔力の大小と属性が授けられるといわれている。
生まれつき人の体には“魔力を蓄える器官”があるが、天授の儀を受けるまで誰もその存在を感じることはできない。
「アイラ、いよいよだね。天授の儀」
「うん。なんか、胸がドキドキするね」
「アイラはさどんな魔法適性が欲しい?」
「私は治癒系かな。だってレー君いつも剣舞の稽古のしすぎで怪我してばっかりだし。そういうレー君はどんな魔法適性が欲しいの?」
「治癒系だよ。」
「あはは、レー君らしいね。」
普段通り会話をしながら今日天授の儀を受ける子供達が待つ教会に向けて歩く。
教会には既に今日儀式を受ける子供達が揃っていた。
「遅いぞ!お前ら」
「まったく、いつも一緒だなお前たちは」
みんなに挨拶をし一列に並んだタイミングで神父が声を発した。
「これより天授の儀を始める。これからお前達にはこの宝玉に触れてもらう」
「触れるだけ?」
リシアが神父に尋ねた。
神父は頷いた。
「手を触れれば宝玉が光る。光った色がお主らの魔法適性を表しておる。ではリシア、お主から触れよ」
言われた通りリシアが宝玉に触れると赤く光った。
「お主は火の適性じゃな、次レオ」
レオが触れると茶色に光った。
「レオお主は土の適性だ。次アイラ」
アイラが宝玉に触れると青色に光った。
「アイラお主は水の適性だ。最後にレ・メーチ宝玉に触れよ」
俺は言われた通り宝玉に触れた。
触れたが何色にも光らない———そんな筈はない、反対の手で触れる。
やはり何も起こらない。
「神父さん」
「お主は魔法適性がないようじゃ」
神父は沈黙していた。長い沈黙の後神父が沈黙を破った。
「これにて天授の儀を終了する。だがレ・メーチお主は残れ」
アイラはレオ達と一緒に俺のことを心配しながら教会を後にした。
「神父さん俺に魔法適正が無いてどう言うことですか?」
「お主、前世の記憶を持っておるな」
「っ!前世かどうかは分かりませんけどたまに夢で違う場所で何かをしているのをみることはあります」
神父は頷いた。
「教会にある古典に2つの魂ありし者は力が干渉し魔法を使うこ許されずと書かれた物がある。魔法がなくとも困りはせぬ。お主の家には剣舞があるそれを極めなさい」
意味はわからないけど魔法が使えない事はわかった。
神父が言った通り確かに魔法が使えない事は悲しいけど俺には剣舞がある。
俺は頷き教会を後にした。
静寂の中に歯車が動く音が聞こえた気がした。




