表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「天才軍師、隠居からの逆転劇──その名は諸葛孔明」

作者: kame

三国志における知略の象徴、諸葛孔明。

今回はその人生の“はじまり”――まだ戦も地位も名誉も 手にしていなかった頃、山奥で静かに暮らす青年としての姿から始まります。


歴史の偉人を、ラノベ風の語り口で再構成。

「彼がなぜ表舞台に出たのか?」その一歩を、どうぞお楽しみください。

ここは荊州・隆中。

戦乱の世にありながら、静けさを保つ山里。


畑を耕し、竹簡を読み、星を眺める一人の青年がいた。

名を諸葛亮という。


「……まだか。今日も来ないのか」


彼は手を止め、丘の向こうを眺めた。

数日前から通っているという男――名は劉備。

天下の英雄と名高い人物らしいが、彼にとってはただの“訪問者”に過ぎない。


「おい孔明、もういいだろ。出てやれよ。三度目だぞ?」


弟の諸葛均が言う。


「……いや、まだ“志”が見えない」


「志?」


「天下を獲る覚悟もなしに、私の門を叩いても意味がない」


それからしばらくして――。


雪が溶け、春の風が吹いたある日。

三度目の劉備が、ついに門前に立った。


「私は劉備。漢の末裔として、この乱世に終止符を打ちたいのです」


彼の言葉に、孔明ははじめて足を止めた。


「ならば……お聞かせ願おう。あなたが見据える“天下のかたち”を」


 


その日、孔明は自ら語り出した。

魏・呉・蜀、三国による鼎立の構想。

そして、蜀を中心とした“民のための政”のビジョン。


「この策、名付けて“天下三分の計”――」


その知略は、まるで雷鳴のように劉備の心を打った。


「天は我を見放さなかった……!」


劉備は孔明の手を握り、涙を流す。


 


それから数年。


孔明は劉備とともに数々の戦を制し、ついには「蜀」の建国へと導く。


敵の動きを読み切る“伏兵の策”。

敵軍十万を三万で退けた“赤壁の火計”。

信義と礼を貫き、敗れても人を得る“仁の政治”。


孔明は武に頼らず、知で国を守った。


 


だが彼の戦いは、いつも“誰かのため”だった。


劉備の遺児・劉禅に誓った五丈原での誓い。

「忠臣は二君に仕えず」と言い放ち、最期まで義を貫いたこと。

そして病に伏しても、なお軍を動かし、**“死しても敵を退かせた”**という伝説の「死せる孔明、生ける仲達を走らす」。


 


──知と仁と、信の人。


それが、諸葛孔明という男だった。


 


戦わずして勝ち、奪わずして治める。


千の軍勢よりも、一つの志を重んじた、

この時代、最も“強い”男の物語。

お読みいただきありがとうございました!

諸葛孔明といえば策士・軍師のイメージが強いですが、 じつは彼の人生のスタートは“引きこもり”に近いものでした。


それでも彼は、自分の“志”を曲げず、機が熟すのを待ちました。

時が来たら動く。だからこそ、あの人に“天才”の名がふさわしかったのだと思います。


ご希望があれば、「赤壁編」や「北伐編」「現代転生もの」などもラノベ調で続けられますので、お気軽にどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ