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「ところで、君はこのあとどうする?」
一通りの話が終わった後、ベレンは改めて少女に訊いた。
「どうする、とは?」
「君自身の身の振り方だ。君は彼らの行方を知りたいと言ったがまだわからずじまいだ。それが判明するまで、君はどうするかということだ。ひとまずこれ以上の追及は諦めて家に帰るかい? それとも――」
「わざわざここまで来て、こんな中途半端な状況で帰ることはありません」
少女はためらわずにそう答える。
「……だろうね。では近所にホテルでも取るかい? しかし金はどうする? ああ、それに未成年だから保証人も必要だな。そもそもどうやって一人で入国したのやら……」
「――一つ、全ての問題を簡単に解決できる方法があります」
「……聞こうか」
ベレンは少し嫌な予感がしたが、続きを促した。
「――私を、しばらくここに住ませてください」
「……なるほど、シンプルな答えだ」
ベレンは想像する。
「それはできないな、出て行ってもらおうか」そう言ったとして、彼女はどこに行く宛てがあるのだろうか。
この寒い夜に、今すぐ外に放り出すことができるだろうか。
しかも彼女は捜査中の重要な情報を握っている人物で、ベレンはその全てを聞きだしたわけではないのだ。
彼の良心だけでなく職責が、彼女を放っておくことを許さない――
「ああ……いいとも」
ベレンは深々と溜息を吐き、答えた。
「一人で住むには広すぎる家だ。部屋は余っているから、好きに使うといい」
――重要参考人だ。身柄は近くで監視しておくに限る。
頭の片隅で、そんなことを考えながら。




