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Come back to the moon water  作者: 白古賀
Chapter1 <Days at home with ***>
5/45

1-4

「ところで、君はこのあとどうする?」


 一通りの話が終わった後、ベレンは改めて少女に訊いた。


「どうする、とは?」

「君自身の身の振り方だ。君は彼らの行方を知りたいと言ったがまだわからずじまいだ。それが判明するまで、君はどうするかということだ。ひとまずこれ以上の追及は諦めて家に帰るかい? それとも――」

「わざわざここまで来て、こんな中途半端な状況で帰ることはありません」


 少女はためらわずにそう答える。


「……だろうね。では近所にホテルでも取るかい? しかし金はどうする? ああ、それに未成年だから保証人も必要だな。そもそもどうやって一人で入国したのやら……」

「――一つ、全ての問題を簡単に解決できる方法があります」

「……聞こうか」


 ベレンは少し嫌な予感がしたが、続きを促した。


「――私を、しばらくここに住ませてください」


「……なるほど、シンプルな答えだ」


 ベレンは想像する。

 「それはできないな、出て行ってもらおうか」そう言ったとして、彼女はどこに行く宛てがあるのだろうか。

 この寒い夜に、今すぐ外に放り出すことができるだろうか。


 しかも彼女は捜査中の重要な情報を握っている人物で、ベレンはその全てを聞きだしたわけではないのだ。

 彼の良心だけでなく職責が、彼女を放っておくことを許さない――


「ああ……いいとも」


 ベレンは深々と溜息を吐き、答えた。


「一人で住むには広すぎる家だ。部屋は余っているから、好きに使うといい」


 ――重要参考人だ。身柄は近くで監視しておくに限る。

 頭の片隅で、そんなことを考えながら。

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