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「……何だ?!」
突如、格納庫のハッチ開放を知らせるアラート音が鳴り響き、マークは驚愕した。
「システムのバグか!? なぜだ? どこが開いた!?」
マークは慌てて全ハッチ、エアロックの閉鎖状況を確認する。
場所はすぐにわかった。
よりによって格納庫のハッチ――それも一番大きな扉が全開になっていたのだ。
(いったい誰が明けた? まさか管制の遠隔操作じゃないだろうな?)
そう思った直後、管制から連宅が入る。
『管制塔よりオペレーターへ。格納庫扉の不正な開放信号を受信した。そちらの操作か? 状況を説明せよ』
「オペレーターより管制塔へ。こちらは捜査していない! 原因は不明!」
『了解した。目的地までの航行に支障は?』
管制塔 に訊かれ、マークは素早くステータスディスプレイ各種項目に目を走らせる。
「おそらく航行に支障なし。推進、姿勢制御系統は正常。キャビンのエアロックも正常」
『了解した。では安全確認後、格納庫扉の速やかな閉鎖を試みられたし』
「オペレーター了解。安全確認後、格納庫扉の閉鎖を試みる」
マークは答え、監視カメラ映像を格納庫内に切り替える。
「ん……!?」
そこでマークは気づいた。
格納庫を占めていた一番大きな積み荷――人型航宙機の姿がない――
(一体どういうことだ? そういえばさっき……)
乗客の一人の親子が、マークに離籍の許可を求めてきた。
確か父親の方が「娘をトイレに連れていく」と言ったのだ。
その時、マークは何も疑問に思わなかった。
実際無重力空間で用を足すのは慣れた人間でないと難しいし、小さな子供ならなおさらだ。
親が介助するのは何ら不自然なことではないし、今までもそのようなパターンはあった。
だがあの親子は離籍したまま、戻ってきていない。
(まさか――)
マークの脳裏にある考えが浮かび、彼はゾッとした。
(まさか――……!)




