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Come back to the moon water  作者: 白古賀
Chapter3 <Fly to the Moon>
29/45

3-7

「キラナ……大丈夫か?」


 猛烈な加重がかかるシャリダンⅣのキャビンの中で、ベレンはキラナに声をかけた。

 キラナは声を出さず頷く。


「そうか。身体はきついとは思うが、おそらくあと5分ほとでこの加速は終わる。シャリダンⅣはサブモーターをドッキングしてからの加速が一番辛いんだ。そこを乗り越えれば、身体は楽になる」


 キラナは再び頷いた。声を出す余裕はないらしい。

 とはいえ、子供の身体には相当な負荷だろうに、一切泣き言を言わずに黙って耐えている。


 そして長い5分が過ぎ、身体にかかる加速度が緩まった。

 その直後、ベレンはわずかな振動を感じる。

 シャリダンⅣが燃焼を終えたサブモーターを切り離したのだ。


「ふう……ようやく最大加速フェーズが終了したな、キラナ、大丈夫か?」

「……はい」


 キラナは息を吐き出しながら頷いた。


「わかっていたことですが、少し堪えました」

「ああ、そうだろうな。特に君は、欧州なら制限を受けてもおかしくない年齢だ」

「ですね。大気圏離脱は二回目ですが、これはまだ慣れそうにないです」


 それからキラナは少し声を潜めて、ベレンだけに聞こえるように囁いた。


「ベレンさん、このロケットの現在の飛行位置は推定できますか」

「まあ大まかにはな。事前情報にある飛行ルートと経過時間を見れば推測を立てることはできる。あとは微調整用の加速タイミングによる推定か」


 ベレンはキラナの意図がわからないながらも、同じように小声で返す。


「では、地球周回軌道の投入最終フェーズに入った段階は分かりますか」

「それはわかるだろう。最終段階で加速か減速、姿勢制御による微調整を行うはずだ」 

「では、その時点で私に教えてください。私たちは――」


 そこでキラナは一旦言葉を切り、少し躊躇するように間を置いてから続けた。 


「――私たちは、ここから離脱する必要があります。シャクティ宇宙基地に着く前に」

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