敗北
俺の視界に首のない俺の体が映る。
首のあったところから勢いよく血が噴き出している。
あれって本当に俺の体なのか?と今でも疑っているが、それは現実逃避だろう。
その首のない体の手から一枚のハンカチらしきものが落ちていく。
その場に不似合いな魔法少女のハンカチ。
そうか…。
俺はあれを拾って…立ち上がった瞬間に俺は首を切られたらしい。
そう言えばゲームかマンガかで言ってたなぁ。
人は首を切られても、しばらくは意識があり、目が見え、話すこともある…と。
そんな首無しの俺の前に変なヤツが立っていた。
例えるなら昔のゲームのドット絵のような体。そのドットが消えたり、現れたり。
全体的には人間の形をしており、胸の膨らみからすると女性…だと思う。
まるで勝ち誇ったように見下ろしているのは何とも不快だが、今となってはどうしようもない。
この意識、あと何秒くらいあるのかな…。
「空!」
俺の名を呼びながら一人の美女が…飛んでくる。
背に太陽の光を受けているのもあるが、その美しさは女神様だな。
俺をこの戦いに導いた美女は首を抱え上げ、豊かな胸に押し付けるように抱きしめてくれた。
「お前の死は無駄では無い…。お前の魂はちゃんと意味を成す。お前は…次への希望を繋いだ」
へぇ、こんな感情的な一面も持っていたんだ…。
それにしてもこんな素晴らしい体験、首が繋がっている時にしっかりやって欲しかったなぁ。
「オーチェ、お前にしては素晴らしい功績だ。まさかここまで勝ち上がる者を見つけてくるとは予想外だったよ」
声だけが響く。
この声にだけは褒められても嬉しくはない。アイツはいつも偉そうなんだよ…。
そんな声も少し聞きにくくなってきた。どうやら意識がちょっと遠くなってきているようだ。
命消えそうな俺にも聞こえてくるくらいにオーチェの奥歯を噛みしめる音が聞こえてきた。
「こんなこと…絶対終わらせなくてはならない…。空、力を貸してくれ…」
俺は温かな光に包まれた。
「これは、お前にしかできない…お前にしか頼めないこと…」
光の中、オーチェの姿が霞んでいく。
俺の命が尽きているのか、もしくは光が強すぎて視界が霞んだように見えるのか…もはや分からない。
「俺にしか…できない…こと?」
最後に話せた言葉はそれだった。
最後の言葉は本当にこれでよかったのだろうか?
俺は深い闇に吸い込まれたかのように意識が消えて行くのを感じながら…しかし、その中で後悔だけが最後まで残った。
俺が…強ければ…。
ごめん、オーチェ。
期待に応えられなくて…。
ごめん、香織…。
俺はお前の思う強い男にはなれなかったよ…。
ごめん、焦馬…。
お前の思い受け継いだのにな…。
俺の意識は完全に途切れて、深い闇の中へと落ちていったのだった。
序章を読んでいただきありがとうございます!初回は9話まで投稿しています。投稿は月水金の21時くらいを予定しています。この物語を最後まで読んでいただいた方に良かったと思える作品と思えるように製作いたしますので、よろしければ応援のポイントやブックマーク、お願い致します!
では一話の「柔らかな手から託されたもの」へどうぞ♪
もし、10000PVいったら続編作ります。そのために…行くと信じて時光空「編」にしています!!




