戸惑いスプーン
輝かしく銀色に光るスプーンがあった。
そのスプーンを眺めると、なぜか心が洗われる気がした。
スプーンを誰かに差し伸べ、そのスプーンで誰かの心を映す。
そんな繰り返しをしているうちに、何かと優越感が襲ってきた。
「こんな些細なことで救われることもあるんだな」
っと、呟くほどに......。
誰にも聞こえるはずのない空間に、その一言の意味がどんどんと誇張していった。
でもなぜか、自分の心は寂しさを感じなかった。
そう強く確信していくと、そのスプーンはくるりとこちらを振り向き、ゆっくりと銀色のフォークへと変わっていくのでした。




