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エピローグ

その後も機動鎧のテストをすることしばし。

 水中戦闘での課題のあぶり出し、水中での稼働時間を伸ばすための素材の厳選などについても一通り話をまとめると、トッドは無事リィンスガヤの港町へと帰ってきた。


「とりあえず全力で行くよ! ついてこれる人だけついてきて!」

「「承知!」」


 当然ながら一日宿泊して船上の疲れを取ってから……などとのんきなことを言っているつもりはなかった。

 既にトッドはかわいいかわいい弟妹達と離されすぎたせいで、限界が近づいていたのだ。


 トッドは船から降りる時には、既にムラクモに搭乗していた。

 そしてごそごそと何かをしている彼の姿を見ておおよそのことを理解したライエンバッハやタケル達もまた、機動鎧に身を包んでいる。


「とおっ!」


 トッドが甲板から直接飛び上がり、勢いよく着地する。続いてライエンバッハとタケルも地面に降り立った。

 彼らに少し遅れる形で、別の船からも機動鎧が飛んでくる。


 どうやらトッドの無茶な行動にも慣れてきているからか、皆なんやかんやでトッドの後ろについていく。


「自分達ははこっちで色々と処理しておきますので!」


「ありがとう!」


 流石にいきなり全員がいなくなるのはまずいためランドンとハルト、それにレンゲがこの場に残り事後対応を行う。


 好きなようにやらせてもらえてありがたいと思いながら、トッドは機動鎧の機動能力を遺憾なく発揮してひたすら街道を駆けていく。


「なっ、なんだあっ!?」


 商人が組んでいる商隊や乗り合い馬車の群れを追い越し追い越し、昼夜を徹してひたすらに駆けていく。

 何人か脱落者が出ていたが、彼らにはあとをついてくるようにだけ伝えてペースを合わせることはしなかった。

 すると二日目の昼頃になってようやく、待ち望んでいたリィンスガヤの王都が見えてくる。

 検問を王族特権で顔パスで抜け中へ入り、ちょっと待ってと言うライエンバッハ達の叫び声もフルシカト。

 結局最後まで残ったのは、同じく顔パスが可能なタケルだけだった。


 二人で顔を見合わせて微笑みながら、山の民を征伐した時と同様に王宮へとやってくる。

 自分達の成果を王宮まで出向き、直接父へと報告するためだ。


 前例があったためか、会合まではスムーズに話が進んだ。


「おおっ、そうか! 大義であった!」


 トッド達の報告を聞き目を輝かせる、国王リィンガルディア四世。

 こんなに年を取っていたっけ。

 トッドがそんな風に思ってしまうほどに、彼の背中は小さく見えた。


 態度も以前山の民を征伐した時と比べるとえらい違いである。

 恐らく今回は事前に言っていた通りの成果を出せたことがその原因なのだろうが、現金なことだなぁとトッドとしては苦笑するしかない。


 今回トッドは無事に皇家との交渉ルートを見せ、そしてアキツシマ国内に機動鎧の有用性を示してみせた。

 ミカゲとの交渉次第ではタケルを王位に置き、リィンスガヤがアキツシマ国内の政治にも色々と手を出せるようになるだろう。


 トッドにとっては、父への報告すらも雑事だ。

 ちゃちゃっと報告を終えてから、トッドは急ぎ王宮の中を駆けていく。

 前回は脇目も振らずの全力疾走だったが、今回もそれと変わらぬほどに速い。

 いやむしろトッドの身体が鍛えられている分、その速度は前回を優に超えている。


 強化の魔法を使い風と一体化してものすごい勢いで駆けていくトッドは、目的の場所へとたどり着いた。


 軽くノックをしてから、中に入る。

 そこにいたのは、アキツシマに行ってからもずっと会いたいと思っていた、愛しの弟、エドワードだった。


 少し離れていた間に髪が更に伸びている。

 既に髪の毛は肩にかかるほどにまでなっていて、未だに女の子に見える中性的な外見をしている。


 くりくりっとした二重がトッドを捉え、キラキラと輝いた。


「兄上っ!」


 トッドは弾丸のように飛んできたエドワードを受け止めながら笑う。

 それに釣られてエドワードも笑みを浮かべる。

 二人は見つめ合いながら、ずっとずっと笑っていた。


 まだまだ考えなければいけないことは多い。

 けれどきっと大丈夫。

 皆で力を合わせれば、乗り越えられない壁なんてないはずだから――。

お読みいただきありがとうございました。

第二章はこれにて終了となります。

評価で感想をいただけるとうれしいです。


それと、短編の連載版を始めました!

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