答え
トッド達がまず最初に接敵することになったアビスは、ゴブリンの形を取っていた。
世界を生み出した神の意志――といえばなんだかものすごいもののようにも聞こえるが、今のアビスはまだそれほどの力を持ってはいない。
シラヌイを着込んだトッドが、その手に持つクサナギでアビスを断ち切る。
振り下ろしの一発で、アビスの身体はぐずぐずになって溶けていく。
「ただのゴブリンよりは強いが、それでも所詮はこの程度! 見た目に惑わされて気後れせずに立ち向かえ、勇敢な我が戦士達よ!」
トッドの言葉に、皆の目が変わる。
ライエンバッハがアビスを唐竹割りにして倒し、それに少し遅れる形でトティラも続いた。
トッド達は鎧袖一触に、アビス達を倒していく。
だがアビス達の特徴は、魔物の特性を持っていることだけではない。
その中で最も問題なのは、やはりその個体数の多さである。
アビスは倒しても倒してもリポップしてくる。
ゲームにおいてはアビスに関してのみアビスのリスポーンというリソースを消費し尽くすまで、何度も何度も、それこそ無限に思えるほど何度も現れていた。
トッドはゴブリン型のアビスを倒し、更にそのすぐ近くにいたスライム型のアビスを倒し、少し離れたところから群れをなして動いているウルフ型のアビス達を殲滅しに向かっていく。
ライエンバッハも強化兵装を用いて、人型のアビスをどんどんと倒していく。
彼に付き従う親衛隊兵士達も、一対一であれば決してアビスに遅れを取ることはなかった。
戦いは五分十分と続いていく。
その様子を見てまたしても驚いているのは、エルフのエリート部隊達だ。
強化兵装はただの人間には不可能なほどに高い機動力と、並の兵士数人分ほどの膂力を与えてくれる武装だ。
そしてそれらによって得ることができるのは、なにも純粋な戦闘能力が向上するということだけではない。
通常の何倍もの力を、わずかな魔力消費によって可能にするこの武装によって、戦闘の省エネ化が可能となるのだ。
強化兵装を身につけた人間の戦闘機能の維持能力は、非常に高い。
もちろん火属性魔法第二階梯である強化を使うよりも戦闘能力の上がり幅自体は少ないのだが、その分魔物の素材に強化を付与することで費消する魔力を大幅に減らすことができるようになっているからだ。
アビスの戦闘能力はそれほど高くはないが、何せその数は非常に多い。
エルフ達の個々人の戦闘能力はここにいる親衛隊員達や山の民達よりも高いが、こと戦闘能力の維持という部分になると、圧倒的に強化兵装組の方に軍配が上がるのだ。
(これほどまで長時間の戦闘に耐えることのできる魔道具……これほどの逸品は、ドワーフと言えど作ることはできないだろう。今の外界と我らの大森林の間には、これほどの差が広がっているということか……)
現れる端から、アビスは倒されていく。
普段ならその圧倒的な数とリポップ速度によってどんどんと対処せねばならない個体数が増えていくはずなのだが、今のアビス達の数は明らかに戦う前と比べて減少している。
圧倒的な戦闘能力を維持したまま、アビスを蹴散らすトッドのシラヌイを見つめながら、エロイフは戦慄していた。
この戦いが終われば、このシリル=ダールトン=ナーメ=チェザーレ・エロイフの名にかけてでも、人との共生の道を説かなければならないだろう。
それをしなければ、エルフもドワーフも皆等しく、人間のその圧倒的な力の前にひれ伏すことになるだろう。
このアビス討伐は、戦闘開始から一時間弱ほどの時間をかけることで無事に完了に至った。
エロイフは覚悟を以て説得に当たり、無事大森林の重鎮達を納得させることに成功。
エロイフを含むエルフのエリート部隊達を始めとする、第二階梯の魔法が使えるエルフ達。
そして鍛冶や魔物素材の加工に関しては人間達よりも深い造詣を持つドワーフ達が、大森林からの交換留学生という少々特殊な形で、リィンスガヤ王国へやってくることになったのだった――。
そしてゆっくりとした歩幅で進んでいた機動鎧の研究は一足飛びに進んでいき……一年後。
トッドが念願としていた機動鎧が、ようやく完成に至ったのだった――。
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