日本が双子になった日
日本はある日、双子になった。
日本列島の上空に、空中に浮かぶ島があらわれたからだ。
まったく同じ日本列島の島が。
そこには、同じ建物、同じ人々が暮らしていた。
前代未聞の出来事に、日本国民×2は大いに動揺。
しっちゃかめっちゃかの大騒ぎになりながら二つの日本は、おそるおそる交流を始めた。
それから約5年。
混乱が収まった日本列島×2は平穏な日々を送っていた。
それぞれ微妙に異なる道を歩きながら。
日本が双子になった日、海に浮かぶ日本列島には災害が起きた。
災害では多くの問題が発生し、多くの出来事が人々の心に傷を残した。
無くした物や、亡くなった者も大勢いた。
そんな中、空に浮かぶ日本列島は、海に浮かぶ日本列島に手を差し伸べた。
自分たちが持っている物を分け合い、亡くした人と過ごせなかった時間を、仮初でも取り戻させてあげた。
海に浮かぶ日本列島の者達は、深く感謝した。
その日以来、二つの日本は、まるで母親のおなかの中で共に育った双子のように、ささえあって過ごしていた。
そして五年目。
姉妹都市ならぬ姉妹国という名称が誕生し、義兄弟国や双子国なども新たに作られた。
空に浮かぶ日本列島と海に浮かぶ日本列島は、当然双子国となった。