リベンジ
蒸し暑い狭く真っ暗な部屋。
暗すぎて手探りで歩かない程の閉鎖空間である。
部屋のスイッチをいれるとその部屋に電気が灯り、部屋の中がいかに汚いかが伺える。
そんな部屋の中に1人男が座っていた。
「こんな汚いとこしか無いのかよ。あと蒸し暑すぎるだろ。」
キュウカを背負っていた男がキュウカをそのへんの床に落とす。
「おいおい...もう少し丁寧に扱ってやれよガキなんだぞ?」
「今から拷問するんだろ?ならいいだろ。そんな事よりも金だ。」
男は座る。
キュウカを連れ去り賀露島を刺した男が向かいの男に金を要求する。
どうやらこの男は今向かいに座っている男に雇われたようだ。
「だから落ち着けよ。それよりあの男はどうだったよバーミン?」
「どうだったって何の警戒もなく俺に後ろから刺されて死んでらぁ。」
彼らの世界では警戒は常に日常茶飯事で行われていないといけない。
それが出来ていないということはその程度の人間ということになる。
バーミンは向かいの男から中々楽しめる相手と伺っていた。
それだけに期待はずれの賀露島にバーミンは男の質問に呆れて答える。
それを腹を抱えて笑う男。
「不意打ちかよw!傑作だぜ!!シルバーカラーの冒険者がブロンズ冒険者でもねぇ奴に不意打ちとかw」
その嘲笑う男が癇にさわったのか賀露島を刺した槍を男に向ける。
(そこらの一般人と相違ない奴とどうしてまともにやらないといけない。)
「フクニーグ...あんまり調子に乗るなよ?ゴールドだからって殺されないと思ってないか?」
「おっ?やるかい?」
冒険者には当然のようにランクが存在していて色でクラス分けされていた。
上から
ゴールド
シルバー
レッド
ブルー
グリーン
ブロンズ
ノーカラー
上記のようにランクがある。
主にこれらのクラスで収入と待遇が変わってきて、ゴールドとシルバーはそのランクにいるだけで高い報酬を貰えるいわば給料が貰える。待遇としてもかなり贔屓される。
レッドからグリーンまではノーマルカラーと呼ばれ冒険者としては待遇は良いが給料みたいな報酬がゴールドやシルバーのようにはなく、収入現は依頼を受けるのみだ。
ブロンズとノーカラー冒険者は待遇もなく給料もない。
そんな上位カラーの冒険者同士がお互いの濃縮された魔力が激しくぶつかり合わせる。
部屋の中は彼らの魔力によりミシミシヒシヒシと呻き声をあげているようだった。
「戦士である君にとっては確かに警戒は常にやるべき事なんだろうな。たが何故ゆえに強者が警戒しなければならない?」
「何が言いたい?」
「つまりだ。警戒していないから弱いと判断する君の頭の固い考えに教えているんだよ。」
完全に挑発していた。
バーミンの頭の血がかなりの高さまで登ったとおもう。
そんな2人に割って入るように別の男が入ってきた。
「おい。ここで喧嘩は禁止だぜ?誰のシマか分かってるのか?」
ここの部屋を提供している男の用だ。
「まあ許せよマスター。何も俺はこんな奴と喧嘩するわけねぇだろ?一方的な殺人になっちまうから喧嘩にならねぇ。」
「あぁ?お前もういっぺん言ってみろ?」
また一触即発になりそうな雰囲気が漂い始める。
その様子に引かれて来たのかまた別の男が現れる。
その男を見た瞬間彼らは警戒する相手をその男に切り替えた。
「アンタ達少しは静かにしなさいよ捕捉するわよ?」
その一言のみでこの空間を支配する男。
見た瞬間オカマとすぐに分かってしまう格好と声をしているが体はかなりの筋肉質だ。
「なっ..なんで騎士長様がこんな所で1人でいらっしゃるんですかね?」
フクニーグが恐る恐る男に質問する。
「ん~?ちょっとね国の安全を守るために見回りをしに来たのよ?あなた達みたいな悪党を取り締まる為にね?」
騎士長と呼ばれる男がもめていた2人の部屋に1歩踏みいると先の空気より危険な感じになる。
その雰囲気を感じ取ったのか騎士長の男は笑顔で笑い始める。
「ちょっと冗談よ~!それに今日連れ去った娘は国を脅かす存在なのでしょ?なら止めるわけにはいかないわドウゾ」
2人は騎士長の男が去ろうとすることに安堵する。
たが去り際に一言呟く。
「私に歯向かうのはいいけどアンタ達はもっと強くなりなさいな?その程度で向かって来たって...死ぬだけよ?」
2人を睨みつけた時、不気味な魔力が2人を襲う。
これ程の戦力差。
だからこんな危険な場所にも1人で来ることもできるのだろう。
「ちっ!ここも終わりだな...」
この場所の提供者である男は扉蹴り飛ばし明らかに苛立ちが爆発していた。
しかし蹴り飛ばした扉にへこみが出来てしまいショックだったのか扉を閉めて出ていった。
「ふぅまあ早く済ませよう。」
「すまねぇな。騒がしくしちまって。」
「いや別に俺も悪かったし」
話を進めるため大量金貨の入った袋をバーミンに見せるフクニーグ。
それを見たバーミンも連れ去って気絶させたキュウカをフクニーグに渡す。
「...なんだ...普通に終わったな...」
「そうだな...」
さっきの出来事で完全に丸くなった彼らは会話も萎れてきた。
「じゃあ帰るわ..」
「おう..」
空気が気まずい。
もう用も済んだし早く帰ろう。
「帰れると思った?」
「!?」「!?」
声のする方を振り向く彼らに戦慄が走る。
そこにはソファーに座る少女がいた。
問題はそこじゃない。
彼女が座っているのは1つしかない扉から一番奥の場所。
扉の前には、もう帰ろうとしていたバーミンが立っていたので普通気づかない訳がない。
どうやって彼らに喋るまで気づかれずにそこに座れたのか。
「こっ...このガキぃぃぃ!!」
戦士のプライドを折られたバーミンが怒りで叫びをあげる。
「うるさいな~。貴方の相手はあたしの愛しのお兄ヤンなんだから!」
「は?」
ドゴーン。バーン
大きな音がする。
壁をぶち破って賀露島が出てきてバーミンの顔を掴み地面に叩きつけた音だ。
「焼き鳥みたいに串刺しした事は許さァァァン!第2ラウンドだァァァァァ!!!!」
寝るのと気絶するのとは少し違う。
寝るのはゆっくり眠くなる。
気絶はいつの間にか寝ている。
誰かだから寝るなって言われたら気絶してましたと言うことにしよう。




