表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/143

序章

バージョン2023

 今、僕は凄く人生を楽しんでいる。

名前は賀露島(かろしま)晃己(こうき)である。年は25で独身。だが今は楽しい。

 勉強嫌いであった僕は幼き頃より勉強を対してする事なく年齢と背丈ばかり大きくなっていった。何事も遊ぶ事を優先し、現在と同様に楽しい生活をおくっていたと思う。

 そんな世の理不尽さを何一つ知らない明るい未来ばかり見ていた幼き頃の無邪気な僕でさえ歳を重ねるごとに将来の色に濁っていく感覚があった。


 小学生最後の年に私立に行くかなど将来について考える子が増えていき、よく遊んでいた同い年の友人が勉強をしているのを見ていると嫌でも考えていた。

だがその時、僕はあまり深くは考えていなかったと思う。小学生の頃はそういう友達は10人にも満たなかったからだろうし、何をしていなくともそのまま中学生にはなれていたからだ。

 そして、そうもいかなくなっていた筈の中学最後の年。勉強をしてこず、そのまま高校受験をした僕の入れる場所は最も成績の悪い子でも入れる学校だった。

その頃にはもう将来は何処ぞの中小企業サラリーマンにでもなっていればいい。そんな夢も希望もない目標を立てていた。


 この時からだろう。最悪と思える時代が幕開けていた。

それは高校生での話。その学校は最も成績の悪い子でも入れるだけあり素行の悪い奴らが大半を占めていて、僕が比較的まともであると自負する程だ。内気な性格ゆえだろうか。

そこでの生活は耐え難いものであった。そこからは怒涛の不登校ラッシュが続き中退となった。最終学歴中卒の僕は家で引きこもりゲーム三昧となるだった。

 高校中退を経て二十歳はたちを迎えた僕は養ってもらっていた親より働けとのお怒りを受けて部屋を照らす太陽の眩さで押しつぶされそうになりながら、したくもないアルバイトをする人生を送ることになった。


 夢は黒く塗りつぶされ、最低限と保険でかけていたつもりの目標すら達成する事は叶わなかった。



しかし、そんな不幸の人生も180度もの逆転が起こる。


 6年間頑張りアルバイトで何とか頑張ってきた僕が何気なくバラ売りで買った宝くじが当選していたのだ。

調べてみた所、その金額は10億円であった。

 最初は実感などは無かったが手元にあった紙にある数字を何度も確認した後に、僕は満面の笑みを浮かべていたと思う。


 今まででの内気な性格が嘘だったように大金を手に入れた僕は気が強くなり、アルバイトは宝くじが当たった次の日には止めていた。

 育ててくれた親の元を離れ、それなりに広い場所へ一人で引っ越し、食事は常に豪華な食事で腹を満たし掃除や身の回りの事は業者を頼むことにした。人生大逆転の成り上がり街道。


 それでも僕が成金のような生活を送ることは全く無かった。車や女性にギャンブルといった娯楽に対する欲求が乏しかったのだ。

 家も広いだけで地価が高い所に住んでるわけでもなく、これといって特別豪華な家でもない。食費も比較的以前に比べて高くなっただけでジャンクフードが好物だった事もあり大した事金額にはなってないと思う。



 そんな高い買い物に興味がない僕が唯一お金をかけているものが1つだけあった。それはオンラインゲームだ。

 アルバイトを辞めてからというもの、オンラインゲームを寝る間も惜しんでやってしまう程だ。そこに対して支払う金には一切の妥協はなかった。

 恐らく普通の人ならゲームをやっているだけでは直ぐに飽きていたと思う。だが僕は普通の人とは違っていたのだ。何故なら僕には金がある!!

一生遊んで暮らせるであろう金がある!!所謂、課金!



そんな人生謳歌中の僕には常に大量に課金し続け、トップランクを維持し続ける程にやり込んでいるゲームが3つほどある。



ガンフローオンライン。


プレイヤーとプレイヤー同士がクランを結成して銃で戦うガンシューティングゲーム。

ファーストパーソン・シューティングゲーム略してFPSなどと呼ばれている一人称のゲーム。

やることは至って簡単ひたすら銃をぶっぱなし敵を倒していくだけ。


 僕がこのゲームを好きな理由は課金者に対してかなり優遇性があり、殆どの装備がトップ帯では課金装備が必要だ。ストーリーモードの理不尽な敵すらも本来は負けイベントでも圧倒的戦力で勝利する事が出来る。

 その感覚がたまらなかった。自分が主人公のようにかけ回る世界が愉悦であった。




二つ目は魔法の世界を舞台にしたロールプレイングゲーム。

フェアリーワールド。


 スキルである魔法を使いひたすらモンスターやNPCを倒すゲーム。

パーティーを組んで一人では倒せない敵を複数の人でクリアしていくゲームらしいが基本ここでも僕は課金しているのでソロで問題なく倒していた。

 仲間なんて要らないのでいつも一人でスイスイと進めてやっている。それもソロ故に楽しる特殊なストーリーがまた楽しく豊富なので今も止められずにいる。




3つ目は主に巨大なモンスターを狩るアクションゲーム。

害獣討伐組。


 これまた複数人でモンスターを狩るゲーム。

これに関してはどうしても物語に出てくる女キャラの娘が好きすぎて止めれなかっただけでそこまで面白いゲームでもない。

 しかも世間ではあまり受け入れられてないのもあって僕だけのキャラという謎の特別感で今も続けている。

勿論課金する事でこの娘との特殊ストーリーも全てクリアひている。



こんな感じで3作品を2年間遊んできた。

もうどれほどの金額を使ってきたか覚えてはいないし、残りの金額等も考えちゃいなかった。



そんな僕は今日も日が沈む位で目を覚ます。


「ふぁぁ。なんだ..まだ6時位かよ...」


「さて今日のガチャの様子は?...」



眠気眼を擦り、若干まだ重たい体を起こし、PCの電源をいれてオンラインゲームのガンフローオンラインを起動する。

それと平行で複数のPCを同時に操り、3点のディスプレイを見ながらフェアリーワールドと害獣討伐組も同様に起動する。



「うわぁ新武器でてるわ~出現率1%位かよ。まあ買いだな。」



 今日も椅子に座ってテーブルに乗っているPC3台を同時に無駄無くPCを操っていた。

FPSであるガンフローオンライン以外のゲームはオート機能も存在するため、それを駆使すれば3つのゲームを平行するのは不可能ではない。

 暗い部屋で大音量のヘッドホンから漏れて聞こえてくるゲーム音楽が小さく響き、カチカチとコントローラを押したり弾いたりする音がせわしなく鳴るだだっ広い部屋の中。


そんな僕の胸を激しい痛みが襲う。


「ぐっ!!!」


 痛い。突然の胸の痛みに僕は胸を押さえながら悶絶している。そして次第に意識が遠退いていくのが分かる。これは人が死を迎える前兆。

 僕の薔薇色の人生2年という短い時間で終了を迎えた。心臓発作か何かが起こったみたいだけど未練はなく死んだのだからもう別にもういいだろう。

賀露島かろしま晃己こうき第一章の人生は終わり第二章が幕開けとなるわけだが……。



ここで終わればよかったのかもしれなかった訳だ。




何年か越しの習性

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ