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天野 雫

魔王のターン

会心の一撃

勇者に1500のダメージ

勇者は死亡した

コンテニューしますか?

はい

▶いいえ



『ずっと1人でいい』

仲間集めのイベントなんて面倒くさい。


『冒険なんてしなくていい』

ずっと始まりの村でいい。

わざわざ危険を犯さなくとも生きていける。


こうして僕はずっと独りで旅もせず生きてきた。

学校では基本無口。

成績もいつも平均点少し上くらいだった。

これが丁度いい。

誰とも関わらずに済むから。

もし関わったとしても、深くは傷つかない。

コンテニューなんて、せずに済む。



今日は高校の入学式だった。

今は家までの帰路を歩いている。

新しい学校でもなんとなーく勉強して

なんとなーく先輩と付き合い、

なんとなーく進路を決めたいと思っている。

人生なんて、なんとなーく生きとけばいい。

そんなモンだ。



ありきたりな校長の話

ありきたりなHR担任

ありきたりな生徒...

やっぱり、変わったところは1つも無かった。

特別なイベントも、新しい仲間も。

一つだけいい所を挙げるとすれば、

話しかけてくる奴が1人もいない事だった。

極力目立たず独りで居たい僕にとって

これは好都合だった。



僕は生まれつき、色が見えない。

僕の世界は常に白黒だった。

だから、虹や瞳、紅葉の美しさだとか、

そういうのは全く分からなかった。

医者曰く、衝撃的な出来事や熱中できる事などがあれば治るらしい。

それこそ、恋だとか趣味だとか。

まあ、どちらにしろ僕には全く縁の無い話だ。

それにしても、色がない世界というのはつまらない。

新しい発見も、季節感も無い。

もっとも、僕はこんな世界で生きていかなければならないのだが。



『ショウゲキ』ね...

恋はともかく、熱中できるものなんてあるのだろうか。

ゲーム...はすぐ飽きるし

本も眠くなって投げ出してしまう。

絵はダメ。

では何があるのだろう...

地道に探していくしかないか。



「ただいまー...」

返事は無い。

もうそれも、慣れつつあるのだが。

というのも、僕は勉強に集中出来るようにと言うことで

中学を卒業してから一人暮らしをしている。

家事は一通り出来るからその点の心配は要らないのだが、

誰も居ないというのはやる気が出ない。

逆にはかどらない気がする...

まあ、高校でも中学の時と同様、問題を起こさず静かに過ごそう。



この時の僕は、一人暮らしが仇になる事をまだまだ知らなかった。

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