Autmun
夏真っ盛りの頃は、鎌倉の書物をむさぼるように読んでいたけど。
あの小説に疑問がでて、鎌倉熱はすうっと冷めていった。
かわりに、あの小説に興味をいだくようになった。
あの本屋が存在しない。
あの小説も。
あの出版社も。
なのに、なぜ、彼があの小説のことを知っているんだろう?
「なぜ、今日、ここなんです?」
「天気がよかったから、富士山が綺麗にみえると思って。」
「すみません。言葉足らずの質問でした。小説では、この大崎公園が最初にでてきたはずですが。」
「あの小説のこと、よく知っていますね。最初にでてきたところだし、一番きてみたかったところのひとつです。ただ、なんとなくなんですが、ひとりできたかったし、ひとりでもこれるかなと思っていたところです。」
暑い夏も終わり、すこし体力も回復してきたこともあり、あの小説の場所にでかけることにした。
鎌倉・逗子にはほとんどでかけたので、行先は葉山、横須賀へと移る。
葉山の海と小路。
キュートなバス停。
富士山へ続く道。
波音の聞こえる山道。
逗子・葉山・横須賀とR134沿い。
澄んだ日には、海越しに富士山がきれいに見える。
彼に会えないかな。
ちょっとだけ、期待をもってでかける。
5月に行けなかった浪子不動と不如帰の碑に何度か立ち寄った。
渚橋近くにお気に入りのカフェを見つけた。