February
眼下に逗子マリーナ。
そして、海、江ノ島、富士山の見える場所。
小説にでてくる場所の中で最も行ってみたいと思っていた場所。
そしてひとりで行きたいと思っていた場所。
なぜひとり行きたいと思ったかはうまく説明できない。
鎌倉ガイドを片手に進む。
鎌倉駅から本覚寺、妙本寺。
早咲きの梅は既に開花。
春の足音が聞こえてきそうだ。
光明寺の石庭と庭園。
蓮の季節にきてみたいな。
材木座海岸へ降りる。
富士山がくっきりと見える。
2月の風はとても冷たい。
ウィンドサーフィンをしている彼らは寒くないんだろか。
逗子マリーナの手前の小さな公園。
江ノ島と富士山がくっきり。
大崎公園からの景色に期待が膨らむ。
逗子マリーナ。
やしの木が日本じゃない雰囲気をかもしだしている。
ええと、ここからはどう行くんだろ。
ここからは、鎌倉ガイドから章末の案内図に変更。
ここを右に。
逗子披露山へいけばいいんだ。
急な坂をのぼる。
少し、息があがる。
吐く息が白い。
ようやく、大崎公園。
しばらく歩くと右手に海が見える。
小説の第一章の書き出しと同じ光景だ。
眼下に逗子マリーナ。
そして、海、江ノ島、富士山の見える場所。
大きく息を吸い込む。
すこし先に進むとベンチがある。
ベンチに老夫婦が腰掛けている。
ほんわりした雰囲気。
ベンチを含めて写真を撮りたいな。
公園内を少し歩くことにした。
しばらく歩いて、戻ってくると、老夫婦はゆっくりと立ち上がった。
ベンチを入れて写真を撮る。
逗子マリーナを入れて写真を撮ったり。
かがんで逗子マリーナが入らないように写真を撮ったり。
坂をのぼってくる人の気配を感じた。
視線をその人に向ける。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
彼と会うのは実に3度目。
3ヶ月連続のことだった。
春を待つやわらかい日差しがベンチに腰掛けるふたりを照らしていた。