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December

その日、なかなか寝つくことができなかった。

本棚に眠っていた本を取り出す。

先月、鎌倉で買った本だ。

各章読み切りの短編小説だけど、鎌倉・逗子・葉山ガイドにもなっているみたいだ。

各章の終わりに書かれた案内図がおもしろく、かわいらしい。

これで本当にそこにいける?

と思うような案内図。

とはいえ、グーグルマップをみると簡単にわかる場所がほとんど。

でも、中には「ここどこだろ?」って場所もあって。


ここどこだろっていう場所の一つにでかけようと思い、京子にLINEを送った。

「ひさしぶり」

「ひさしぶり~」

「土曜日、空いてない?」

「あいてなくもないけど、なあに?」

「鎌倉いかない?」

「かまくら?いいね」

「いける?」

「ちょっとチョーセイして、あとでれんらくいれるわ」

京子のLINEは漢字がない。


1時間ほどして、返信があった。

「いけるよ、まちあわせ、どこ?なんじ?、まかせる」

「あとで連絡するね」


待ち合わせは、大船駅。

「おはよう。久しぶりだね」

「久しぶり。おはよう。」

「どこいく?」

「内緒。」

「内緒って?」

「美鈴のミステリー・ツアーとでも考えてくださ~い。」

2人は歩き始めた。

美鈴は、ときおり、地図をとりだして見る。

美鈴手書きの地図だ。

小説の各章の終わりに書かれた案内図をもとに美鈴が書いた地図だ。

なぜ、コピーではないかって?

その案内図だともっと狭い範囲でしか書かれていなかったからだ。

小学校からその場所までは書かれていたけど、大船駅からは小学校までは書かれていなかったからだ。


小学校までは簡単に辿り着く。

小学校の脇から山道へ。

「この道かな。」

「えっ、ここ通るの?」

「うん。」

「スニーカー履いてきってって、こういうこと?」

「うん。」

「ここ、トトロの森みたいだね。」

「チェックポイント通過。」

「オリエンテーションみたいだね。」

「それをいうなら、オリエンテーリング!」

「似てるよね。」

「似てるけど、違う。」

「ええと、ここを左に。」


しばらく、進むと、目的の場所に到着。


「ここ、ここ。」

「ここ、ここって、ここ、どこ?」

「あそこが北鎌倉の駅。ほら、スカ線見えるでしょ。緑の屋根が円覚寺。」


北鎌倉を見渡せる場所。

12月の風が吹き抜けていった。

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