## 第一話 ### 「史上最低の勇者、爆誕!」
# 『勇者はカッコ悪くてもいい! 一生懸命に生きてる姿が一番輝いているから!』
## 第一話
### 「史上最低の勇者、爆誕!」
「……え?」
目を開けると、そこは真っ白な神殿だった。
床は大理石。
天井には大きなシャンデリア。
目の前には王様と騎士がずらりと並び、俺――**山田恒一**を見つめている。
「おお! 勇者様のお目覚めじゃ!」
白ひげの王様が涙ぐみながら叫んだ。
「世界を救ってくだされ!」
「……え? 俺?」
「そうです!」
王女まで満面の笑みだ。
(いやいや、昨日まで普通の高校生だったんだけど!?)
そこへ、水晶玉を抱えた魔法使いが前に出る。
「では、勇者様の能力を測定します!」
水晶がまばゆく光った。
周囲は息をのむ。
「歴代最強か……?」
「剣聖を超えるか?」
「魔王も終わりだな!」
みんなの期待が高まる。
そして――
パリン。
水晶が割れた。
「え?」
魔法使いは青ざめた。
「……ど、どうした?」
王様が尋ねる。
魔法使いは震える声で言った。
「こ、こんな数値……見たことがありません……。」
ゴクリ。
神殿中が静まり返る。
「攻撃力……1。」
「防御力……1。」
「魔力……0。」
「素早さ……1。」
「運……2。」
「料理……0。」
「歌……0。」
「モテ度……0。」
「イケメン度……測定不能。」
「総合評価……」
魔法使いは目を閉じて叫んだ。
「史上最低です!!」
シーン……
誰もしゃべらない。
王様がゆっくり椅子に座り直した。
「……帰す?」
大臣が小声で言う。
「帰しましょう。」
「でも帰し方が分かりません。」
「そうじゃった。」
王様は頭を抱えた。
恒一は思わず叫ぶ。
「ちょっと待ってくださいよ!」
その瞬間。
ズルッ。
床で足を滑らせた。
「うわぁぁぁ!」
ドン!
神殿の柱に頭をぶつける。
「痛ぁぁぁ!」
騎士たちは顔を見合わせた。
「弱そう。」
「というか弱い。」
「勇者ってもっと光るものじゃ……。」
王女まで苦笑い。
「かわいそう……。」
恒一は頭をさすりながら立ち上がる。
「……いや、まだ始まったばかりだし!」
すると突然、頭の中に声が響いた。
『努力スキルが発動しました。』
「え?」
『努力した分だけ成長します。』
「努力?」
『腕立て一回でも成長します。』
『走れば速くなります。』
『転んでも立ち上がれば精神力アップ。』
『人助けをすれば運アップ。』
『諦めなければ、限界はありません。』
恒一は目を丸くした。
「つまり……努力すれば強くなれるってことか!」
その時だった。
神殿の外から悲鳴が聞こえた。
「きゃーーー!」
「スライムだーー!」
騎士たちは慌てる。
「勇者様!」
「お願いします!」
「お願いしますじゃないだろ!」
恒一はツッコミながらも、木の剣を握った。
神殿を飛び出す。
目の前には、小さなスライムが一匹。
「ぷるん♪」
(かわいい……。)
しかし次の瞬間。
スライムが飛びついてきた。
「うわぁぁ!」
恒一は慌てて避けようとして――
ズルッ。
また転んだ。
その拍子に木の剣が飛び、
偶然スライムの頭に命中!
「ぷるっ!」
スライムはくるくる回って気絶した。
村人たちは目を丸くする。
「……勝った?」
「転んで勝ったぞ!」
「奇跡だ!」
恒一は土だらけの顔で笑った。
「……か、勝てた?」
頭の中に再び声が響く。
『努力ポイント+1』
『転倒回数1000回で称号【転んでも立ち上がる者】を獲得できます。』
「そんな称号いらないよ!」
村中に笑いが響いた。
その笑い声の中で、恒一は木の剣をぎゅっと握る。
「カッコ悪くてもいい。」
「笑われてもいい。」
「俺は――」
「絶対に、この世界を救ってみせる!」
夕日に照らされたその背中は、誰よりも頼りなく、そして誰よりもまっすぐだった。
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### 次回予告
## 第二話「努力だけでレベルアップ!? 腕立て伏せ百回で筋肉痛!」
「強くなる方法は、才能じゃない!」
毎日転び、毎日笑われ、それでも前へ進む恒一。
その努力を見ていたのは、美人魔法使いリリアだった――。
笑って、転んで、ときどき泣ける勇者の冒険が、いよいよ始まる!




