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第1話 Vtuber星井ユキ

俺はVtuberの配信が始まるのを待っている。

パソコンの置いてある机に向かって待機している。

配信の画面には「待機中」の文字が並んでいる。

きっとじきに彼女が来る。

その瞬間が待ち遠しい。

早く来ないかな。

待ちに待った配信の時間を楽しみにしている。


彼女の姿が配信の画面に現れる。

金髪の赤い目をした快活そうな顔の美少女だ。

彼女は「あっあー」と声を出して始める。

ついに来た。

配信が始まった。

彼女が配信を始める。

いつもの楽しみな時刻だ。


「こんユキ! こんユキ! こんユキ! やっほー! やっほー! (ほし)()ユキです!」


と彼女は挨拶する。

その挨拶はネットでも有名な挨拶だった。

俺もチャット欄に「こんユキ」と打つ。

他のリスナーたちも「こんユキ」と打ってチャット欄は洪水のように挨拶が並ぶ。


「ちゃんと声は聞こえているね。それじゃあ、配信を始めるね」


彼女はそう言って配信を始める。

俺は彼女のこの可愛い声を聞きに来ている。

可愛い姿を見に来ている。

その楽しい時間を誰にも奪わせはしない。

奪わせたくない。


星井ユキはVtuberだ。

俺は彼女をユキちゃんと呼ぶ。

ほかのリスナー達もチャット欄では大体がユキちゃんと呼んでいる。

彼女の愛称はユキちゃんだ。

みんなに愛されてそう呼ばれている。

愛されてみんなが配信を見に来ている。


「今日は新作のゲームをやっていくよ」


彼女はそう伝える。

チャット欄は「待ってた」「やった」「わくわく」とコメントが流れる。

コメントは洪水のように流れる。

アクティブで見ている視聴者が多い。

とても人気の配信者だ。

彼女は多くの人気を勝ち取っている。


「今日は『エーテリアの大地』をやっていくよ。この前発売されたばかりのオープンワールドのゲームで今からやるのが楽しみなの」


とユキちゃんは言う。

彼女の声は本当に弾んでいて、ゲームをするのが楽しみなのだとリスナーに伝わる。

その無邪気な声が好きだ。

その健気なところが愛される。


星井ユキはVtuberだ。

Vtuberには中の人がいる。

俺はいつの間にか中の人のことが好きになっていた。

彼女の無邪気な声や反応などを見ていると、いつの間にか心から彼女のことが好きになってしまっていた。


配信者のことを本気で恋するのは馬鹿なことだろうか?

俺は本気で星井ユキのことが好きだ。

本気で恋している。

馬鹿かもしれないけれど、この恋する気持ちは本気だ。

この気持ちに嘘をつくことはできない。

本当の気持ちなのだ。


Vtuberに本気で恋している俺は馬鹿者だろうか?

本気で恋したところで彼女とリアルの世界で会えるわけではない。

それは分かっている。

だから、俺は馬鹿なのかもしれない。

けれど、リアルで会えない彼女に恋をしている自分に後悔はない。


Vtuberには中の人がいる。

星井ユキにはもちろん中の人がいる。

星井ユキを動かすためにカメラで中の人の動きをキャプチャーしているはずだ。

その動きと連動して今、目の前で星井ユキのイラストがリアルに動いてみんなを感心させている。


俺は星井ユキを動かしている中の人に恋していた。

アバターから通じて見える彼女の姿に恋している。

本当に俺は馬鹿だ。

本当の彼女の姿を見たわけでもないのに、本当に彼女のことが好きになってしまった。

彼女のなにを知っていると言うんだ?

なにも知らない癖にいっちょ前に人を好きになるなんて馬鹿なやつだ。


俺は星井ユキが好きだ。

もう中の人のことが好きなのか、外の彼女のことを含めて好きなのか分からない。

ただ恋い焦がれる思いだ。

そんな思いを彼女が初めて俺に教えてくれた。

愛するという気持ちを初めて知ることができた。

初めて恋をした。

初めての恋だった。


「じゃあ、『エーテリアの大地』をやっていくよ」


彼女はそう言ってゲームを始めた。

俺は配信画面を食い入るように見る。

彼女と一緒に冒険する時間が楽しい。

その時間が俺に元気をくれる。

元気を分けにもらってきている。


「ええっと、どうやって攻撃するんだ?」


彼女が困っている姿を見て親切なリスナーがアドバイスをチャット欄に書き込む。


「なるほど。分かった。ありがとう!」


彼女はお礼を言う。

こうやって相互作用で進んでいく配信を見るのが楽しい。

自分も配信に参加している感じがする。

それが楽しいから配信を見ることがやめられない。


ユキちゃんは「エーテリアの大地」のチュートリアルを進める。

スイスイと進める。

見ている(がわ)もストレスなく見られる。

彼女のプレイスキルがもともと高く、ゲームをしているところを見ても気持ちいい。

そういうところも好きだ。

ゲームが巧いところも好きな点だ。

それって羨ましいと俺は感じる。

俺もゲームが巧かったらなあ。


「初めてモンスターを倒した。やったあ!」


彼女がそう言うと、「天才」「すごい」「やれば出来る子」と言ったようなコメントがチャット欄を流れる。

みんな彼女と一緒に冒険するのが楽しい。

そうしてこんな雰囲気(ふんいき)ができるのも楽しい。

みんなでゲームを楽しむ姿が美しくもある。

そんな感じがヒシヒシと身に感じる。

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