最終話(第4話):「烈風よ、魂を継ぎて吼えろ」
――五虎、そして黄影会との最終決戦――
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虎暦三十四年、春――
王国の空が、不自然に“灰色”を帯び始めた。
それは大気でも、風でもない。
人々の胸に漂う、言葉にできない不安だった。
南の赤炎同盟。
西の潮焔連邦。
北の鉄輪機構。
三つの敵を退けた王国は、表面上の均衡を取り戻しつつあった。
だが、それは単なる“序章”にすぎなかった。
突如、王都の空に響く、ひとつの声明。
「我ら、黄影会。
かつて虎ノ國が生まれる遥か前、王も民も持たぬ時代より続く、
真の“秩序”の継承者である」
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黄影会――
かつて、王国がまだ成立する前。
内乱と混乱を武力で封じた“影の軍団”であり、
五虎の登場によって封じられた、いわば旧世界の統治者たち。
彼らは今、三つの勢力を“外部の矛”として動かしながら、
自らは王国中枢への内側からの侵入を図っていた。
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それを知った五虎は、聖甲子園城の戦議の間に集う。
■前川右京:「敵は炎で脅し、
水で包囲し、
地から押し上げてくる。
……でも“空”は、まだ俺たちのものだろ?」
■小幡竜平:「奴らの狙いは“王ではない”。
“民の認識”だ。
――国とは、誰が信じるか、だ」
■井上広大:「なら、俺が射る。迷いなく、
俺自身の矢で、誰かの“心”を撃ち抜く」
■渡邉諒:「ぶっ壊してやるよ。
未来を閉じるために“過去”が来るなら、
ぶち破って、前に進むしかねえ」
■中川勇斗:「……誰も通さない。
ここは、俺たちの場所だ」
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そして――黄影会の正体が明かされる。
それは、かつての五虎大将軍たちが封じた伝説級の軍略家・「黒陽の策士」。
元は王国の礎を築いた参謀であったが、王政成立後に影へ追放された男。
彼は今や年老い、名も捨て、ただ「影」と呼ばれていた。
「……お前たちは、虎を名乗るには若すぎる」
「秩序は、強き者が与えるものだ」
「民に選ばれた国など、脆くて見ていられん」
だが前川が言い放つ。
「違う。“虎”は強いから咆哮するんじゃない。
背負うものがあるから吼えるんだ!」
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王都決戦――
黄影会は、旧時代の技術と幻術、機械と人の“融合兵”を王都に放ち、
城内でのゲリラ戦を展開。
広大の矢がその進路を貫き、
渡邉の拳が城門の攻撃を撥ね返し、
小幡の策略が王都の通路を迷路と化し、
右京の風が敵の進軍を切り裂く。
そして、中川は――
聖甲子園城の玉座前で、影そのものと対峙する。
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「……お前は、なぜ黙って戦う?」
影が問うた。
中川は、短く答える。
「俺は……守るから黙る。
言葉より、ここに“立っている”ことで十分だ」
その瞬間、五虎の全員が集う。
風が吹き、策が巡り、矢が飛び、拳が吼え、壁が築かれる。
全員が、あの時代の五虎とは違う。
だが確かに、あの虎たちの魂を継いだ存在だった。
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そして五人が、声を合わせて叫ぶ。
「烈風よ、俺たちの中で生きろ!」
決戦の空に、王国の旗が翻る。
影は崩れ去り、
黄影会は完全に壊滅した。
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終章:継承の、その先へ
その年、王国は新たな時代を迎える。
五虎は“烈風の代”と呼ばれ、
民たちは彼らをこう称えた。
**「ただ強い者たちではない。
見て、聴いて、迷いながらも、“前に進む虎たち」**と。
そして――
丘の上の石碑に、新たな五つの名が刻まれる。
彼らの咆哮は終わらない。
次の世代へ、またその次へと、
虎ノ國の魂は、繋がれていく。
『虎ノ國戦記 未来編〜烈風の継承者たち〜』
――完結。
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