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『虎ノ國戦記〜五虎大将軍伝〜』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『虎ノ國戦記 未来編〜烈風の継承者たち〜』
23/25

最終話(第4話):「烈風よ、魂を継ぎて吼えろ」



――五虎、そして黄影会との最終決戦――



虎暦三十四年、春――

王国の空が、不自然に“灰色”を帯び始めた。


それは大気でも、風でもない。

人々の胸に漂う、言葉にできない不安だった。


南の赤炎同盟。

西の潮焔連邦。

北の鉄輪機構。


三つの敵を退けた王国は、表面上の均衡を取り戻しつつあった。

だが、それは単なる“序章”にすぎなかった。


突如、王都の空に響く、ひとつの声明。


「我ら、黄影会こうえいかい

かつて虎ノ國が生まれる遥か前、王も民も持たぬ時代より続く、

真の“秩序”の継承者である」



黄影会――

かつて、王国がまだ成立する前。

内乱と混乱を武力で封じた“影の軍団”であり、

五虎の登場によって封じられた、いわば旧世界の統治者たち。


彼らは今、三つの勢力を“外部の矛”として動かしながら、

自らは王国中枢への内側からの侵入を図っていた。



それを知った五虎は、聖甲子園城の戦議の間に集う。


■前川右京:「敵は炎で脅し、

      水で包囲し、

      地から押し上げてくる。

      ……でも“空”は、まだ俺たちのものだろ?」


■小幡竜平:「奴らの狙いは“王ではない”。

      “民の認識”だ。

      ――国とは、誰が信じるか、だ」


■井上広大:「なら、俺が射る。迷いなく、

      俺自身の矢で、誰かの“心”を撃ち抜く」


■渡邉諒:「ぶっ壊してやるよ。

     未来を閉じるために“過去”が来るなら、

     ぶち破って、前に進むしかねえ」


■中川勇斗:「……誰も通さない。

      ここは、俺たちの場所だ」



そして――黄影会の正体が明かされる。


それは、かつての五虎大将軍たちが封じた伝説級の軍略家・「黒陽の策士」。

元は王国の礎を築いた参謀であったが、王政成立後に影へ追放された男。


彼は今や年老い、名も捨て、ただ「影」と呼ばれていた。


「……お前たちは、虎を名乗るには若すぎる」

「秩序は、強き者が与えるものだ」

「民に選ばれた国など、脆くて見ていられん」


だが前川が言い放つ。


「違う。“虎”は強いから咆哮するんじゃない。

 背負うものがあるから吼えるんだ!」



王都決戦――


黄影会は、旧時代の技術と幻術、機械と人の“融合兵”を王都に放ち、

城内でのゲリラ戦を展開。


広大の矢がその進路を貫き、

渡邉の拳が城門の攻撃を撥ね返し、

小幡の策略が王都の通路を迷路と化し、

右京の風が敵の進軍を切り裂く。


そして、中川は――


聖甲子園城の玉座前で、影そのものと対峙する。



「……お前は、なぜ黙って戦う?」


影が問うた。


中川は、短く答える。


「俺は……守るから黙る。

 言葉より、ここに“立っている”ことで十分だ」


その瞬間、五虎の全員が集う。

風が吹き、策が巡り、矢が飛び、拳が吼え、壁が築かれる。


全員が、あの時代の五虎とは違う。

だが確かに、あの虎たちの魂を継いだ存在だった。



そして五人が、声を合わせて叫ぶ。


「烈風よ、俺たちの中で生きろ!」


決戦の空に、王国の旗が翻る。


影は崩れ去り、

黄影会は完全に壊滅した。



終章:継承の、その先へ


その年、王国は新たな時代を迎える。


五虎は“烈風の代”と呼ばれ、

民たちは彼らをこう称えた。


**「ただ強い者たちではない。

 見て、聴いて、迷いながらも、“前に進む虎たち」**と。


そして――


丘の上の石碑に、新たな五つの名が刻まれる。


彼らの咆哮は終わらない。

次の世代へ、またその次へと、

虎ノ國の魂は、繋がれていく。



『虎ノ國戦記 未来編〜烈風の継承者たち〜』


――完結。



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