表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『虎ノ國戦記〜五虎大将軍伝〜』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『虎ノ國戦記 未来編〜烈風の継承者たち〜』
22/25

第3話:「黒金の遺志、地を割る者たち」



――井上広大・小幡竜平の章――



王国北部・鉱都鍛ノかぬちのさわ

かつては鉄と石炭の採掘で栄え、巨人軍との戦の折には、

戦車や甲冑の供給地として王国を支えていた。


だがいま、地は揺れていた。


最初は小さな地鳴りだった。

だがやがて、それは“人工的な振動”へと変わる。

地下で何かが――掘り進んでいる。


その報を受けたのは、蒼雷の弓将・井上広大。



「……地面の下で戦うなんて、誰が決めた」


かつての師・森下翔太なら、

こういう場面で必ず言葉を残しただろう。


だが広大は黙して弓を背に、

静かに鍛ノ沢の坑道へと降りていった。



坑道の最下層――

そこには、“鋼の巨人”が待っていた。


地上で使われることのなかった旧・巨人軍の装甲兵。

それが新たな姿で現れた。


名は「鉄輪機構てつりんきこう


無言のまま動く彼らは、

AIのように命令のみを反映し、意志なき戦いを繰り返す。


さらに彼らは、旧王国の採掘データをハッキングして、

地下に“第二の城”を築き始めていた。


「王国は、地の上にしか目を向けていない」

「ならば我らは、地の下から覇権を奪う」


そう語ったのは、「錆の帝」と呼ばれる男。

元・巨人軍の軍師にして、かつて坂本勇人の策を裏で支えた“静かなる獣”。


小幡竜平と面識のある、かつての軍略家だった。



広大は地下空間に罠を張りながら、地上へ情報を送る。

すぐに小幡が動いた。


策の塔を飛び出し、北上。


「“地”を支配するなら、その道筋を遮断する。

 あの男は線で攻める。なら、面で封じろ。」


小幡は王国北部にある五つの旧坑道に同時に罠を張り、

“情報の流れ”そのものを分断する。


広大の矢が、坑道内の支柱に刺さると――

巨大な天井が落ち、鉄輪機構の動きが止まった。


「言葉も、心もない相手に勝つには、秩序そのものを壊すしかない」


そう呟いた広大に、小幡は無線で言葉をかけた。


「矢の軌道は変わらない。でも、撃つ角度は変えられる。

 あんたの矢は、今もう“師の真似”じゃない」


「……ああ。今の矢は、俺自身の意志で放ったものだ」



その日、王国北部の大地は沈静化し、

鉄輪機構は地中に再び潜伏した。


だが「錆の帝」は言い残していた。


「次に動くのは、“影”だ。

 我らはただの駒。本当の指揮官は、まだ表に出ていない。」



王都では、五虎が揃い始めていた。


前川右京は南で赤炎同盟の動きを断ち、

渡邉と中川は潮焔連邦の動きを押さえ、

広大と小幡は地中からの攻撃を退けた。


だが、それはまだ**“三つの矛”**にすぎなかった。


本当の脅威――


それはすべてを裏から操る、かつての影、

王国すら知らなかった“真なる敵”の存在だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ