《閑話1》
2024年12月25日(水)
》岡崎市民病院 ICUスタッフステーション
《ピッ………ピッ………ピッ………》
深夜のICU。
白いスタンドテーブルを向かいに、ハイタイプのナースチェアに当直の医師と看護師が座っている。
「しかしなぁ……。」
「……良かったじゃないですか。回復に向かって。」
「そりゃもちろんですよ。ただ、どう報告しようかと……。」
「文献にでもしますか?」
「いやー……。何で回復したかわからない症例なんて、そもそも部長がOK出すわけないですよ(笑)」
「ふふ。」
二人で、陽のベッドを振り返る。
「……でも……本当にあんな状態で、よくここまで……。」
「先生、救急でも対応されたんですよね?」
「はい。そりゃもう、ダメだ、無理だ、と思いながら輸血と昇圧剤を入れてましたよ。」
「……。」
「内臓もやられてましたからね。それが……検査値まで良くなるとか……。」
「こんなことは過去に?」
「あるわけないじゃないですか(笑)」
二人は向き合って笑う。
「緊急ブザーがなった時は、どうなるかと思いましたが……。」
「……良い、クリスマスになって良かったですね。」
「本当、そうですね。こんな日の当直で、唯一良かったことです。」
「水都ちゃんも、本当によくがんばりましたね。」
「そうですね……。火災事故のこともあり、気持ちはわかりますが……よく廊下で5日間も耐えて……。」
「ふふ、明日の申し送りが楽しみです。」
「ナースの皆さん、ずっと応援されてましたからね。」
「ええ。……あと先生、あれ、ありがとうございます。」
「はい?」
「あの、ベッドです。」
「ああ……それはもう(笑)」
「水都ちゃん、あれからすぐ、力尽きるように寝ちゃって。」
「ベッドくらい、準備したっていいじゃないですか。」
「はい。それも嬉しかったですが、あれ……。」
「……しょうがないじゃないですか(笑) ほどけなかったんだから。」
「それで、病院なのにベッドくっつけてくれるとか、そんな判断してくれる人、先生くらいしかいませんよ?」
「……チーフには上手く言っておいてくださいよ? あと、会計にはバレないように(笑)」
「ふふ、はい、もちろんです。」




