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文学

空の箱

作者: 緋西 皐

 丸い箱がある、寸法はさほど大きくない。


 おおよそ形取られたのは数十年、種別だけで言えば世界に無数にあるが、それぞれ色も違えば、中身に入っているものは大きく違う。


 ただタイプはだいたい決まっていた。

 燃えるような赤、ごちゃつく中身であるが、その狭さも賑わいのある箱。

 透き通った青、整えられた中身、非常に清潔な箱。

 穏やかな黄、ほどよく散らかる中身、風流だろうと微笑む箱。


 彩りある箱は目について憧れを抱かされ、我もと箱に色を塗ろうとし、真似るものである。

 しかしながら誰しも箱庭の中、同じ感動を抱くとは限らない。


 二つの箱がある。


 一つは破裂しそうなほど詰まった灰の箱、窮屈なのに気づいても怠惰な本能、あるいは疲労によって、解決を誤解してさらに箱に何かを押し入れる。


 もう一つはいっその事、全てを空にするために必要な物さえも捨て去り、挙句の果てには箱の底までもくり抜いてしまう。

 とはいえ箱の感情は次第に整理されていくもので、勝手に形を探すものと思える。

 その一つとして箱でなくなることもあるだろう。


 空の箱がある。色は透明、できたのは数十年前。

中身は何も入っていない。数十年もあったのに何も入っていない。

なんと悲しいことだろうか。しいてあるならば風が箱肌を擦るだけであり、それこそが空白を認識させてくる。


この箱は誤りだろうか。

色のある箱のように定まった運命も無く、迷いながらも進む覚悟すらないとも見える。

空の箱は実に無様だろう、そうして認識し、なんでもいいからと箱を埋めるべきか。


変なようでもある、透明だというのに、透明であるからこそ、虐げられる。そう感じてしまうのも。また空虚を浮かべるのも。


ただこれもある認識でしかない。

確かに箱には色も無く、中身も何もない、まるで時が進んでいるかもわからない。

しかしその代わりに、ゴミ一つないのだ。


寂しく思うあまりにその箱をゴミ箱にしてまで、透明を隠す必要がどこにあるものか。

狭ければいいというものでもない、きっとその箱にはどこかにある一つを飾るための空白なのだ。


ならば開けておけばいい、その寂しさは期待ゆえだろう。

それでも訪れることなく、過ぎていく日々に飽きてきたのなら、やわらかい土で箱を埋め、美しき花を植えるのもいい。


空箱はゴミ箱にもなり、美術館にもなり、花瓶にもなれるようだ。


ならば後者を好みたいものだ。

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