お湯のグミ
発明家の彼は
何の味もしないグミをくれる。
お湯から作ったグミだと言う。
前に進まない車の中で、
真っ白で音のない映画を観ながら、
二人で味のしないグミを食べた。
彼はクスクス笑っていたけど、
私はあまり面白くなかった。
だから車から降りて
ドングリを拾って食べた。
彼は私についてきて
そんなもの食べてると
リスになるよ
と言って笑った。
私がリスになっても
意地になってドングリを食べ続けていると
彼はもっと笑いながらリスになってしまった
その後、一緒に森の中を走ってくれた。
木々の枝を飛びながら走り抜けるのは
とても気持ちよかったけど
いつの間にか
私は一人だった。