外れ値
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何一つ合わない子の話。
両親の好きな物が好きじゃなくて、嫌いなものが好きだった。先祖が信仰した土地に嫌われて、縁も縁もない土地を好んだ。だから私、相性の良い神社仏閣、土地を見るのに、あんまり先祖や身内の事を宛にしていない。
本日の習慣として本能が求めるままに梅香の君の元へ訪れた。五月雨のように延々と続く天候。故に精神面を案じていた。この天気の時には、決まって苦しそうに、荒御魂の自分を抑え込んでいらっしゃるから。
鳥居を潜ると、神楽音の音が聞こえてきた。何やら催事がある様で、雨音を響かせながらぐるりと回り込む。風が吹き荒ぶ。目を閉ざして再度開くと、麗しの微笑を浮かべた御前がいらっしゃった。
「久しぶり。元気にしていたかな?」
「......」
本日は何時もの雨天時とは打って変わって、晴天時の梅香の君がいらっしゃった。その事に酷く驚いて、思わず目を見開く。まぁ、そんな例外的な事もきっとあるだろう。
「お加減は......」
「催事があるのだから、何時も通りではいけないだろう?」
そう仰って、私の頭を撫でた。何とも言えない包容力に危うく寝そうになる。雨天時なのに。
目の前では神前結婚式が行われており、祝する様に神楽の音が空気を包む。それに呼応するかの様に、今の梅香の君も色艶が増していらっしゃっる。
「私の先祖も、そうやって愛でて戴いたのでしょうか?」
「いや? 君が初めて。なんだ知っているのかと思ったよ」
梅香の君は少しだけヒリついた空気を纏われせる。実のところ、私の両親との縁はほぼない。何かの気まぐれで両親と訪れた際には今と同じ、やや警戒した雰囲気を醸し出す。あんまり得意では無いことは薄々分かる。
「......やっぱりですか。うちの両親の家紋からしても、あまり相性は良くない筈なのですが」
なんせ貴方様を陥れた族の紋を冠しているのだから。その後裔に懐かれて、定期的に訪れるのは物凄く皮肉な気がする。愛でられるどころか、拒絶れても反抗出来ない気がする。
「君はいい子じゃないか。こうして沢山の感謝を与えてくれる。それだけで良いんだよ」
「有難う御座います。私の事はどうぞ外れ値とでも思って戴けると」
何事にも例外はある。雨天時に何時も通りな梅香の君とお会い出来るように、騒動を起こした族の末裔にこうして愛を注いで下さる様に。
先祖が好きだった土地が合いません。
身内が嫌う土地が合います。
だから私が案内すると、大抵身内は合いません。
私が嫌いな土地を勧めれば良いと思うのですが、嫌いな土地なので勧めません。
本当、合わない土地に行くと、落ちた厄を全て拾って押しつけにかかるので。
これに関して言えば、人間以上に露骨ですよ。
幼少期は親が世界の中心なので、好み一つとっても合わないと自らに『変な子』というレッテルを貼るんですよ。
本当はそんな事、ないんですけどねぇ。違う人間ですし。
でも成長していくと、『まぁ好みが合わないだけだし』という結論に至ります。
集団の塊から外れた存在。
それを今回は外れ値と称してます。