表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩雲華胥  作者: 柚月 なぎ
第四章 謀主
91/254

4-5 これからのこと



 事態が落ち着いた後、三人は今後のことを話し合った。神子みこであることをまだ認められない無明むみょうだが、神子みこである事実は変えられない。


逢魔おうまは、俺を神子みこって呼ぶの禁止」


「あなたの願いなら、従うよ」


 とにかく神子みこではあるかもしれないが、まっさらな状態ではどうにもならない。できることならあまり大勢には知られなくないし、あがめられるなどまっぴらごめんだった。これまでれ者として自由気ままに生きてきたのに、急に態度を変えられてもこちらが困る。


「辛いかもしれないけど、ふたりとも少しずつでいいから昔のことを教えてくれる?」


「承知した」


「うん、わかった。あ、でもいいのかな~。言えないこともあるかも?」


 白笶びゃくや揶揄からかう目的のみで、逢魔おうまは余計なことを口にする。


「別にやましいことはひとつもないが?」


 まったく動じることなく白笶びゃくやが応えるので、逢魔おうまは首を振って、相変わらず面白くないな、とぼやきながら肩を竦めた。


「俺は、自分自身が神子みことして認められるようになるまで、そうであることをあまり知られなくない。できることなら、各一族の宗主以外には知られないようにしたいんだ」


白群ここでは誤魔化すのが難しいかもね」


「兄上は味方にしておいた方がいいだろう、」


 余裕がなかった白笶びゃくやは、ここに来る前に白冰はくひょうに対して本音を口にしてしまっていた。あの玄武の陣を見て気付かないはずがない。隠したところで意味がないだろう。


「うん、白冰はくひょう様と竜虎りゅうこには伝えるつもり。きっとふたりなら、今のままでいてくれる気がするんだ」


 竜虎りゅうこは真面目だが、きっと自分の願いを叶えてくれるだろうと無明むみょうは思っている。いつも喧嘩ばかりだが、いつだって最後は自分に譲ってくれたり、ひとつしかない菓子なら、半分に分けた時に必ず大きい方を自分にくれるような義兄なのだ。


「どうでもいいが、そろそろ戻った方がいいのでは? それこそ色々詮索されてしまうだろう。話し合いならどこでもできるのだから、いつまでもこんな所にいないで、早く顔を見せてやった方がいいと思うんだが、」


 ひと区切りついたところで、太陰たいいんは三人の間に割って入って来る。いい加減、ここから出て行って欲しいというのが本音だった。もちろん、神子みこだけはいつまでもいてくれてかまわないが。


太陰たいいん兄さんは根暗だから、ワイワイ賑やかにしてるのが苦手なんだもんね。ごめんね、気付かなくて」


 こいつ······と太陰たいいんは眼を細める。


太陰たいいん様、ごめんなさい」


「いいのです、神子みこは。というか、様付けは止めてください。外も静かになったことですし、ここへはいつ来てくださってもかまいませんから」


 しゅんと落ち込むそぶりを見せる無明むみょうに、慌てて太陰たいいんが駆け寄る。へへっと無明むみょうは笑って、うんと頷いた。


「では、帰ろう、」

「うん! 帰ろうっ」


 そこにはもう涙はなく、いつもの明るい笑顔が花咲く。白笶びゃくや無明むみょうに手を差し出して、無明むみょうは躊躇うことなくその手を取る。ふたりはそのまま仲良く手を繋いで、洞穴から去って行った。


「なぜお前は出て行かないんだ?」


「だって、俺はほら、特級の妖鬼だから」


「特級の妖鬼が神子みこの眷属のわけがあるか。いったいどこの阿呆がそんな等級をお前に付けたんだ?」


「それは褒めてるの? それとも貶してる?」


 逢魔おうまは弾むように言葉を並べて、太陰たいいんの返しを待っている。


狼煙ろうえん······いや、もう別に逢魔おうまでいいだろう? お前は、これからどうするんだ?」


「別に、今まで通りだよ。神子みこを守る。それだけだよ。違うとするなら、堂々と守れるってこと?」


 ずっと遠くで見守っていたが、もう姿を隠す必要もない。けれどもあくまで自分は"妖鬼"という分類にされており、これから先も訂正する気もない。


 あのふたりだけがわかっていれば、それでいい。


「ただ、気になることはいくつかある。まだ確証はないけどね」


 言って、逢魔おうまは珍しく難しそうな表情を浮かべるのだった。 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ