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全国民マイクロチップ義務化になる件

作者: ぶんかなっとう

 これまでペットにされてきたマイクロチップを人間にも行うことが決まった。

 海外では既に希望者には埋め込まれており日本も遅ればせながらだが全国民に対してやることになった。

 18歳から毎年情報を更新する。

 チップには生年月日、国籍の他に運転免許、保険証、マイナンバーと銀行口座、現住所と賞罰など。

 もちろん犯罪歴もしっかり入るが、学歴と性別は希望者のみとなっている。

 チップを埋め込んでいないのは外国籍か観光客のみ。

 そして全国各地のあらゆるところのセンサーに反応させる。

 例えば、自宅から出てどの道を通りどんな店に行って何時間滞在したか。

 自宅でどの番組を観たかはテレビにセンサーが内蔵されている。

 だから旧型のテレビが中古なのに高額で取引されていたり動作解除のハックがネット上にあふれている。

 つまり個人情報の全てが漏れなく得られることになる。

 なんで国民はそれを受け入れたのか。 

 犯罪の防止と確実な検挙のためである。

 これまでは防犯カメラが有効な手段だったが、解析には人員も時間も必要とされる。

 その間に再犯があればどうしようもない。

 

 チップを取り出すことは簡単にできるが、それはそれでチェックされるので不審者情報として自動的に通報され、カメラが自動的に追尾する。

 外国籍者と観光客には入国時に簡易的なカードを常時携帯してもらう。

 出国時に返却する必要はない、再入国時にも有効になる。

 もし紛失したり盗難に遭った場合はすみやかに報告し再発行しなければならない。

 当然だがそのままだと不審者として、この場合は密入国の不法滞在者として逮捕される。

 逮捕され初めて紛失に気づくこともあるようだ。


 子供は両親の許可でチップの埋め込みがされるが、補導や犯罪歴があれば強制的にされる。

 そこには少年法はない。

 つまり凶悪犯罪だが法に守られた子供であっても、常に行動履歴は瞬時に判明している。

 これは性犯罪者にも適用されるし、ストーカーやDV離婚の加害者の行動をも確認できる。

 それらは専用のアプリで常に警戒できるから、一時期電車内のあちこちでアラームが鳴りやまないことが続いた。

 犯罪歴が無いクリーンな人が別車両に移ったりしたので、対象犯罪者はすぐに判明し次第に安全な生活になった。

 しかし、どこに行ってもアラームが鳴り自覚がある犯罪者が自死するようになったことが問題となった。

 大多数が自業自得といっていたが、いずれ自分がそうなるわけがないと思っている人が多いということだ。でも何かしらでその立場になるかなんてわからない。罪を犯したくて罪とは思わないでとかで犯罪者になる人も少なくない。

 例えば、毎年100人交通事故や殺人があったとして、残り半年で50人は被害に遭うことは確実なのに、今現在の未来の当事者はどういう気持ちで生活しているのだろうか。

 自分が被害者加害者になるとは思ってはいないはずだ。

 貧乏人やホームレスは自業自得という人もいるが、親や信頼できる親戚が存命している人だけがそう言える。主に若者に多いことだが。

 だからノマド生活に憧れるが、実家がある人だけの特権をさも自由に自分の好きな仕事を満喫している人生だとSNSにアップして勧誘するビジネスもある。主に初心者レベルのソフトを使ったデザインで決してエンジニア育成ではないのが実情。


 国は有効で膨大な情報を使用目的を犯罪抑止に限っての運用としているが、国民のほとんどは信用していない。イヤ言い方を変えよう。

 若者の全てが信用していないが、未だに週刊誌とテレビ新聞を情報源としている人々、つまり元気な高齢者は疑ってもいない。

 しかし、政治家のほとんどは企業とのパイプありきなのは周知の事実。

 企業に補助金を支給してもすぐに献金として還流される。

 官僚は政治家の駒でしかないので、ましてや末端の職員など丁稚奴隷といってもいい。

 つまり上から流れてきた指示がそのまま変化することも無く動く。

 伝達ゲームでさえ5人も通せば元ネタから離れるのに、彼らの能力の高さがうかがえる。


 運用されてすぐにチップのデータを改ざんするビジネスが生まれた。

 もちろん違法性が高いことだが、暗証番号等があればシステムをコピーするのは可能だ。

 ただし高額な手数料を請求されるので一般の国民はやらないが、裏社会の人間は偽装されたデータを入力して別人となっている。

 ただし、別データであっても一度でもセンサーでチェックされれば行動は把握される。

 つまり過去を清算して新しい人生をやり直したいという人でなければ意味が無い。


 チップの運用には欠点がある。

 それは停電とシステムを運用している企業のサーバーなどがダウンしてしまうこと。

 つまり災害や人為的、もしくは想定外の故障によってである。

 もしかするとハッキングされることもあるだろう。

 もちろん常時監視運用はされているが、絶対安全とは断言できない。

 ただしそこは日本人。

 不吉なことを口に出すという想定をすれば現実になる恐れがるということ。

 だから最悪を想定していないと皆が思っている。

 最終的に国民一人一人が自己防衛しなくてはならいことがまた一つ増えた。

 年金は支給開始時期が75歳となり、若者は収入が少なく免除されているのも少なくない。

 最初の10年間をサラリーマンとして保険料を支払ってから退職し自営となり、事業収入を最低ラインで抑えて所得税、市民税などを免除されるという最底辺の生活となっている。

 まともに税金等を納めているのは一部の富裕層だけとなり、選挙行動もその人々しか関心が無い。

 そう、国は国民のほとんどを見捨てることとした。

 それがチップを埋め込むことにより、不都合で役に立たない人間が国に害しないよう監視するためである。

 昔は日本人に生まれてよかったと思っている国民が多かったようだと歴史で習った。

 日本は平和で世界で一番裕福で最先端の生活だったと。

 今の時代は未来の歴史でどう習うのだろうか。

 国が作る教科書であり歴史だから都合よく書かれるだろう。

 知らぬは自国民だけなのは世界中どこの国でも同じなのだから。

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