3 学校一の美少女との密会を実況(笑)してみた
昼休みに突入。
普通なら昼食を教室なり広場なりでとるところ、鈍感主人公野郎は弁当も何も持たずに図書室に入館。
これはさすがに怪しいです。
秒でコッペパンと紙パックの牛乳を購入。俺も気づかれないように図書室に入館した。
「いつもごめんね、宮ノ下さん」
「いいのよ別に。私が好きで作ってきてるんだから」
……おっとおっとこれは密会現場を押さえてしまったようだ。
それに相手は……がはっ!
あれは学校一の美少女と名高いあの宮ノ下玲奈だと⁈
定期テストでは常にトップの成績で、全国模試は一桁台しか取ったことがない才女。さらにモデル顔負けの容姿で、黒髪ロングのザ・清楚系!
あれだよね。大体メインヒロインになる超ラブコメ級ヒロインだよね。
そんな彼女と密会とは……もうこの時点でほとんどの男子生徒の反感を買っていることは間違いないでしょう。
「今日は木賀君の好きなおかずをたくさん詰めてきたの」
「ほんとに⁈ それは嬉しいよ」
どうやらあれは……賄賂——ではなくて弁当ではありませんか。
それも手作り弁当。なるほど。だから鈍感主人公野郎は弁当を持っていなかったわけか。
……羨ましいなクソ——以下省略。
俺は荒ぶる気持ちを、実況者として落ち着かせ、本棚の隙間から二人を観察。
幸い図書室には二人と俺以外に人はいないので、変な目で見られる心配なしだ。
……あぁ、俺のことじゃなくてあの二人がね。(ダメだこいつ)
「もぐもぐ……すごくおいしいよ! 宮ノ下さん!」
「そ、そんなに無邪気に喜ばなくても……」
「いやほんとにおいしいんだって! 僕は毎日こんなお弁当を食べられて、ほんとに幸せ者だなって思うよ!」
「幸せ……」
あぁーこれは完全に鈍感主人公野郎の無自覚アッパーに気絶寸前ですね。
あぁいう天賦の才能が憎いです。
「ほんと、宮ノ下さんはいいお嫁さんになれるね」
「ぐはっ」
しかし鈍感主人公野郎は攻撃の手を決して緩めません。
第二撃は的確に急所を突いてきた!
これに宮ノ下さんもときめきを抑えられない。
いやぁーあの高等テクニック。正直意図的にやっていて、心の内では「これ言っとけば大抵の女は落ちんだろ。ちょろ」とか思っていてほしい!(もはや願望)
あの純粋無垢な顔の裏にそんなゲスな部分が隠されていることを願います。
「そ、そうやっていつも私の料理を褒めてくれる木賀君こそ、いい夫になれるわよ」
「そ、そうかな? 宮ノ下さんの料理がほんとにおいしいだけだよ」
「ぐはっ」
宮ノ下さん必死のカウンターに、鈍感主人公野郎はもろともしない!
むしろカウンターを食らってしまっている!
「ほ、ほんとしゅき……」
ってかもう「好き」って言っちゃってますこれ!
だいぶ小声だったけど普通の人間だったら間違いなく聞こえています!
さて、この局面で数々のヒロインを泣かせてきた鈍感主人公野郎はどう対応するのか!
これは見ものです。
「……えっ? 今なんて言った?」
まさかの難聴系主人公属性もプラスされていたぁぁぁぁぁぁぁ!
これはひどい! こんなクズが主人公でいいのかラブコメ!
「えっ、いやっ……べ、別に何でもないわよ? ええ何でもないわ」
「そ、そっか」
「さっ、早くお昼ご飯食べましょう」
「そうだね」
はぁ。
もうため息が止まりません。
まさか鈍感主人公野郎に難聴属性もプラスされていたとは……もう見ていられません。
だけどここは俺が犠牲となって、鈍感主人公野郎のラブコメのリアルをお伝えするんだ!
その固い決意の元、まだまだ実況していこうと思います。
……はぁ、俺も美少女の手作り弁当食べてぇな。
もはや実況ではなくツッコみを入れるの方が正しいということに全く気付かない田中であった。
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みなさんもうすでにお気づきかと思いますが、この主人公はクズです。間違いなく。
それを念頭に置いて読んでいただけたらなと思います。(どういう推奨だよ)




