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1、プロローグ


  【メッセージ】

 

  昨日、このHPを偶然見つけて、拝見させて頂きました。

  真由子ちゃんの事件が三年経って、世間から忘れられようとしている今、

  このようなメッセージをお送りするのはどうかと、随分迷いましたが、

  些細な手がかりでも欲しておいでかと、思い切ってお知らせする事にしました。

  私も、同じ年の女の子を持つ母親として、ご両親様のお気持ちを思うと、心が痛みます。

  本当に犯人が、許せないです。


  ただ、何の証拠があるわけでもありません。

  馬鹿なことをと、一笑に付してしまわれても仕方のない話なので、

  このまま、このメールを削除されても構いません。

  この半年、私はずっと、誰にも話せずに、一人思い悩んできました。

  ご家族様にこのメールを送ることで、自分の中の重石を取り除きたいと、

  今はそのように考えております。


  私はある福祉事務所の相談員をしておりました。

  そのマンションへは、半年に一度、保護世帯の訪問のため行っていたのですが、

  実はそこで、ある女の子と会いました。

  その子は、そのマンションの薄暗い階段の踊り場にじっと立っていました。

  普通なら、挨拶を交わして素通りするところ、先にも書きました通り、同じ年の女の子を持っていて、

  事件の報道を人ごととは思えずに見ていたものですから、

  その顔に覚えがあったのです。

  ただ事件から3年も経っていますし、その子の様子もちょっと変わっていたので、

  まさかという気持ちの方が大きく、確信があった訳ではありません。

  「あなた、このマンションの子?」

  と、まずは尋ねました。

  でも、虚ろな目で空を見つめているだけで、応えてくれません。

  「お名前は、なんて言うの?」

  と、答えを期待せずに訊くと、今度は私に目を向けて、

  「まゆこ」

  と、小さな声でポツリと言ったのです。私は驚いて、

  「本当に、真由子ちゃんっていうの?」

  と、大きな声を出してしまいました。

  すると、驚いたのか、その子は私の傍をすり抜けるように階段を上って行きました。

  いえ、上って行ったと思います。

  実は、すり抜けたその子を私が振り向いた瞬間、そこにあるはずの姿がなかったのです。

  本当に瞬きするような瞬間です。

  消えてしまったのです。

  階段には一瞬にして、姿を隠すようなところはありませんでした。

  実のところ、私は恐怖さえ感じて、動転しました。

  私は「まゆこ」と言ったその子を探しました。

  でも、そこの住人達も、女の子は住んでいないと首を傾げるばかりで、結局見つかりませんでした。


  この半年、こんな根拠もない、馬鹿な話をお伝えすべきかどうか、本当に悩みました。

  でも、あの時の女の子の顔は、このHPに載っている真由子ちゃんに似ています。

  その後、私は引越し、再びあのマンションへ行く事はありませんでした。

  

  この話を信じて頂こうとは思っていません。

  私自身、信じられないのですから。

  ただ、お知らせしたいと思っただけです。

  心無いいたずらと、お怒りになられたのなら、お詫びいたします。

  

  どうか、真由子ちゃんが一日も早く見つかりますように、それだけを祈っています。

  











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