夢を見ていた時
〜 直近2週間の情報を表示します 〜
操られている猿人族たちとの戦争
勇者3名及び帝国近衛騎士団により勝利
勇者2名及び近衛騎士団団長により傀儡撃破
猿人族の捕虜の処遇決定
1週間後第2波
猿人族も友軍として参戦し優勢かと思われたが勇者3名の死亡により戦況が覆り敗北
今朝未明、敵軍が帝国を囲む外壁を突破
死者18857人 負傷者24668人
行方不明者545人
以上です。
「え?勇者3名死亡......?」
2週間前......
敵軍を操っていた女が残していった死体の塊を斃す事に成功した勇者達は戦勝祝いの宴をあげていた。
「あんた中々やるなぁ!」
「ふっふっふー、私は陛下に選ばれし騎士だー!だから強いに決まってるだろぉー!」
「お前ら、酒はほどほどにな」
「んなこと言ってねぇでお前も飲めよ!」
あぁうざ、なんて事を思いながらもノックスも宴を楽しんでいた。騎士達と勇者は酒が入っていることもあり、すでに完全に打ち解けていた。
まだ恐らく襲撃は続くだろうが皆の士気の為にも、とレピッドが提案した宴は大盛況だった。
「うぅー気持ち悪りぃー」
「お前いつまで飲んでたんだ?」
夜明けまで飲み続けていたシームウィルは今にも吐きそう、と言った表情でふらついている。すぐに寝てしまったノックスは死にかけていた昨日とは違いピンピンしている。
「あぁ、やめとけばよかった」
「あんたもかよ」
この男、レピッドも夜明けまで飲み続けていたのだ。こんなので帝国は大丈夫なのだろうか。
「コルンに治してもらえよ。やることが山ほどあるんだから」
「そうだな」
その後、解毒魔法をかけてもらった2人が戻り本格的に作業に移った。
昨日の戦いで保護した獣人達の今後についてだ。彼らを元いた大陸に帰すのが本当はいいのだが、彼らの大陸は一国を除きすでに占領されてしまっているらしい。
「しかし、彼らが一時的にでも生活する場所が足りないぞ」
急激な人口増加に耐えられるはずがない。敵はこれも見込んでの策だったのだろうか。
「彼らのリーダーみたいなのはいるのか?いたら呼んでくれ」
「は!」
「お呼びでしょうか」
「あぁ君がリーダーということでいいんだな?」
「まぁ、はい。一応国では王の権限を少し有していました。ゴルヒルといいます」
「君の意見を聞きたい。我々と共に侵攻してくる敵を迎撃するか、それとも戦わずに隠れているか」
「もちろん戦闘には参加させていただきたいのですが、その.....非戦闘員も多くいましてですね」
保護した猿人族は約30000人。内戦闘員は12000人でその他は一般市民だそうだ。
その数の食糧、住居を用意するのは厳しい。
「住居は魔法使いを動員すればなんとでもなるが問題は.....」
「食糧だな。こればかりはどうしようも無い」
「俺の仲間に成長を早める能力を持つ者がおりますがその者に任せてはどうでしょうか」
「わかった。そうしてみよう」
土、木属性の魔法使いを動員し、簡易的な住居を建設する。非戦闘員の猿人達は畑を開墾し、作物を植え始める。
「頼むぞ」
「はい。《成長》」
スキル《成長》を持つグーリンにより植物は急成長し、食料問題は解決した。日が暮れる頃には住居設備も完成し猿人達は寝床についた。
翌日からは戦闘員達が訓練を開始し更なる戦闘への備えを始めた。
「団長!正体不明の大型船が5隻、海岸から50km先で観測されました。こちらに向け進行中です」
「そうか、ついに来たか。全員広場に集めてくれ」
「はい!」
第2波に対する作戦会議では予測される敵数や種族などが話し合われた。船の規模から想定すると敵兵はおよそ4万人。前回の侵攻時の3万人に比べると若干多い程度だ。
ゴルヒルによるとその船は犬人族のものであるらしい。
「敵は犬人族、狼種を中心とした精鋭部隊が送られている可能性もある。奴らの嗅覚には気をつけろ」
「了解」
2時間後敵の艦隊が海岸まで迫ってきた。
砲兵部隊は艦隊目掛けて攻撃し始めた。
「何かおかしくないか?」
「ああそうだな」
砲弾を受け続けボロボロになってもなお進み続ける艦隊に不気味さを感じる。回避も、反撃も、防御すらもせずただただ上陸しようと進み続ける。
「なぁ、まさか......」
「あぁ、だとしたらまずい」
船の様子を望遠鏡で見ていた勇者たちは乗組員たちの姿を確認し青褪めた。生気が感じ取れないのだ。彼らの肌は青白く、身体がツギハギの者もいた。
「あれは......不死者だ」
〜 不死者 〜
死なない
噛む、引っ掻くなどして対象の体液に触れることで感染させ、不死者にする
再生能力がとても高く身体の部品が千切れても修復する
撒き散らし続けられる瘴気によって、近くにいるだけだけで感染する
生き物を襲う
生前の力を扱う
「おい!敵は不死者だ!くそっ!傀儡の方がマシだった。弓兵と魔導士達を中心に部隊を再構成しろ!」
「最悪だな。どれくらいで感染するんだ?」
「10分くらい。数が多いからもっと早くなるかもな」
「お前は遠距離武器になってた方がいいかもな」
「あぁ」
2艘沈めることはできたが3艘は海岸に到達し、上陸してしまった。
「【武器】-[多連装弩砲]!」
シームウィルは多連装弩砲に変身し、広範囲に渡り攻撃する。しかし、一撃で粉々にするか核を叩けなければすぐに再生してしまう。
核の位置はさまざまなため狙い撃つことはできず足止めにしかなっていなかった。
「【槌】-[槌召喚]-[焔槌]!」
ノックスも負けじと焔で敵を瘴気ごと焼き払う。帝国軍も遠距離攻撃を中心に、騎士たちは交代で戦闘を繰り広げる。
「うっ.....」
「お、おい!やめろ!うわぁっー!」
騎士たちの中にもゾンビになってしまうものが増え始め、敵と味方の区別が難しくなってきた。コルンが後方で浄化や治癒で支援しているが、それでも間に合わない感染力。
「だ、団長殿!奴らがいます!」
「ゴルヒルどうした!」
「精鋭部隊です!」
「私はそいらを食い止める!急ぎ勇者を呼んでくれ!」
「了解です!」
犬人族精鋭部隊。狼系犬人族で構成された獣人大陸で一二を争う最悪の部隊。獰猛な性格で常に飢え、時には同族すらも喰らう。ついた異名は共喰い部隊。力がとても強く、獣王ですら苦戦するほどの者たちだ。そんな彼らすら敗北し、ゾンビと化した。
「急ぐぞノックス!」
「あぁ、わかってる!」
レピッド、ノックス、シームウィルの三人で連携し戦うも一体も傷つけることができない。食い止めるどころか食い殺されかねない状況だ。加えて長居する訳にもいかず、思うように戦うことができない。
「くそっ!噛まれた」
「シームウィル!お前は下がれ!コルンに治してもらえ!」
「無理だ、噛まれたら終わりなんだ。もう始まってる。早く俺を殺せ!どうせ生き返れる。俺は大丈夫だから......」
コルンがいれば生き返ることが可能だとはいえ、仲間を殺す事はそう簡単にできることではない。それに自分も生きて彼女の元へ戻れる確証はない。
だが、しかし、勇者のゾンビを生み出してしまえば勝ち目はなくなるだろう。
「すまない......」
「ぐぁぁぁっ!」
聖剣で首を刎ね、四肢を刻み、業火で包み込んだ。仲間を1人失ったが悲しんでいる暇はない。今は目の前の敵をどうにかしなければならない。
レピッドは仲間を刻むノックスを横目に見つつスキルを使い大穴を開けていた。それが偶々核に当たり敵を倒した。
「一体やったぞ!.......ぁあ、まて!くそっ!離せ!あぁっ!」
レピッドは5匹の狼に取り囲まれ、身体中を噛まれた。肉が抉れ原型をとどめないほどに。
「もう、終わりか.....だが、最後まで諦め....」
「ゔぅ....」
「シーム.....ウィル?
身体をバラバラにし焼き払ったはずの彼がそこに立っている。
「よ、よかった。生きてたんだな。俺、幻覚でも見てたのかな.......」
ノックスは彼に近づいていき首を噛まれ、ゾンビになった。
その後数分して帝国軍及び勇者3名は死亡、又はゾンビとなった。
そして現在、ゾンビの群は撤退していき、代わりに鳥人族の軍が上陸し、守る者のいなくなった帝国を落した。




