神の力
漆黒の中で体験したことはおそらく幻ではなく他の俺が在った世界だろう。そこには俺ではなく俺がいた。今までに魔神によって殺されてきた自分自身。全てを見て理解した。
しかし、疑問も残る。何故ゼードがそれを見せたのか。いや、何故彼がそれを知っていたか。それに限る。
「まあいいか。本人に直接訊けば」
時間のベクトルが逆転し、ゼードが現れた所まで戻る。仲間たちが殺されるのを阻止したいが。俺の実力では不可能だった。
〜 全てを過去の配置に戻しました 〜
あなた以外の全てが過去の状態に戻ります。
〜 名称不明が消滅しました 〜
「辛そうですね〜。痛いですか?苦しいですか?フフフ。もっと苦しんで欲しいところですが、流石に死なれたら困るのでやめにします」
「黙れ。お前には全て吐いてもらう。覚悟しろ」
《敬神》は発動しない。やはりゼードは格上だ。だからなんだ。俺には初めから奴を倒す方法があった。知らなかっただけだ。恐らくやれる。
「俺が《普通》の対象とするべきだったのはお前じゃなかった。俺自身だったんだ」
「何を言ってるんですか?まだ私は何も見せてませんよ。というか何故急にボロボロになったんですか?」
〜スキル《普通》が発動しました。 〜
対象 神々の残滓
神々の残滓から上位の神々の平均能力値を推測します.....成功しました
全能力値が1不可思議加算されます。
神のステータスは通常測定可能領域を超過している。神ですらないゼードですらそうなのだからその予測は間違っていないだろう。しかし、それが莫大な数あったとしてもその中の数パーセントだけでも分かるとしたら話は変わってくる。そこからおおよその能力値を計算し神々の普通を推測できれば莫大な力を手にすることが可能だ。そしてそれに成功した。
「見せたいものがあったのに見てくれなさそうですね。別にいいですよ。私は私の仕事をするとします。《黒ノ絶対者》-[全てを飲み込む者=黒]」
「止めろ」
「な......何故、あなたにこれが止められるんですか?あなた程度の実力では」
「黙れ」
「.......」
ゼードから発せられる無言の絶叫。顔を怒りに歪ませている。
「動くな。どのお前も他の世界のことは知らなかった。何故お前は、お前だけは知っている。」
「テメェに言うわけねぇだろぉ!」
先程までの丁寧な言葉はどこへやら。顔を歪ませ叫ぶ。
彼から得られた情報は彼を殺すのをやめるほどのものだった。神の中には神の生まれではないものを神へ覚醒させる神が存在する。
その1人がゼードに秘密裏に接触し神へ覚醒させた。そして、彼が目的のものを手に入れられなかった場合に起きる世界の崩壊を防ぐためにゼードを準5級再生神にし、魔神を監視させていた。
魔神側の神々は7柱。そして、それぞれが強力な神々だ。だがその神々に対抗する神々が存在することもわかった。
ゼードはどちらかというと味方側だった。
しかし、彼の目的は世界崩壊後に全てを再生することであって魔神の邪魔をすることではないしすることはできない。だから仕方なく実たちを攻撃したという。
だとしても。
「だとしても。俺はお前を許さない。だけど殺しはしない。どうせ神なんだ殺しても意味ないんだろ?」
「ええ、まあ」
ゼードの力を再生の権能以外全て封印する。
もし俺が世界の崩壊を阻止できなかった時にこの世界を救えるのは彼しかいないから仕方ない。
「ああ、そうだ。言ってなかった。ここにきますよ」
「なにがだ?」
「え?何がってそりゃあ幹部級のやつらですよ。今のあなたにはこれ以上の戦闘は厳しいかと思いますが」
「《空間神Ⅷ》」
「うわぁ!実......さん?」
「こいつ......お願いします。拘束しといて。
俺もうダメだ。ちょっと寝ます」
最初は迷宮の階層を自由に行き来するためのスキルだったがレベルが上がり、知人がいるところまで移動することが可能になった。
たまたま勇者が3人いたのでそこへ転移し助けを求めるも実は死んだように眠ってしまった。




