暗殺者達の決着
この男、能天気で戦闘中にも関わらず関係のない話まで盛り込んでくるくせに攻撃が全く通らない。これほどの人間がいたとは。
「.......面白いっ!《死闇ヲ統ベル者》」
魔神による神の祝福、サイルが受け取ったのは《死闇ヲ統ベル者》。デュアルの《死神》ほどの死の力を宿してはいないが、闇の力を操り闇の兵士を作り出すことができる。彼らは使用者の7割程度の力を有しておりそのスキルをも本体と引けを取らないレベルで扱うことが可能だ。現在の彼の力では精々3体が限界だが、それだけでも戦いは圧倒的に有利になる。
「え〜?4対1はずるいよ〜」
サイルの力の7割もあれはデュアルの《死神》によって瞬殺されることもないだろう。
いくら攻撃を殺すことができるとしても同時に4つ以上の攻撃を認識するのはとても難しい。
「デュアル!助けはいるか!?」
「もうちょっとだけやってみるよ〜!」
デュアルはこのスキルを手に入れてから存分に使える相手がおらずいつになったら使えるのかとうずうずしていた。人類の最強盾ですら本気で使うことは叶わなかった。デュアルは嬉々としている。
「ありがとね!初めて本気で戦えるよ!」
「本気?この状況下でどうするつもりだ?現に攻撃を殺しきれていないではないか!」
「いったよね〜僕には死が見えるって」
彼のスキルの能力には死への最適ルートを表示するというものがある。さらにそれを実行するための環境をある程度操作できる。3メートル以内における勝率は、相手の方が圧倒的な強さを有していない限りは100%だ。4人分の死の道を確認し点と点を繋ぎ最も簡単に全滅させる線を書き出す。
「かーんせい!一撃で君を殺しちゃうからね」
背後からの攻撃を躱し、その身体を踏み台に次の攻撃を往なす。攻撃を避ける、往なす、殺す。それを繰り返し、線をなぞりある一点に収束させる。
「これで終わり!」
攻撃をしている本人ですら気づかないうちに並べられていた。2挺の鎌の刃が4つの首を切り裂いた。
「ふぅ、終わった」
「俺が......負けた......だと?」
「え?」
「デュアル、危ない!」
実が咄嗟に釘を飛ばしていなければデュアルも体から首が離れていただろう。首のない暗殺者の体は無数の穴を開け頽れた。
「ダメか」
「何で生きてるの?」
デュアルは確かに彼の首を刎ねた。実が風通しをよくしたその体には首がついていない。
今喋っている頭には体がついていない。
「俺はこのスキルのせいで死ねなくなったみたいだ。まぁ今となっては首しか残っていない、死んだも同然だがな。俺の負けだ......好きにしろ」
生首と会話するのはなんか気持ち悪いからと首無しゴーレムの上に乗せて会話する。
なかなか口を割らないものだと思っていだが彼はつらつらと自分の仲間、つまりは魔王軍について話し始めた。まるで別の人間のように。
現在魔神が統治していること、その魔神が魔王軍幹部を強化し戦争を開始したことなどが話された。軍の侵攻状況はとても芳しく、亜人大陸最南部に位置するドワーフ領の首都レヴスミスが落とされ、彼等を動員し大量の量産型とは思えない性能の武器の供給源としている。さらにハイオーク領とボブゴブリン領
との戦いもいよいよ大詰めで攻め落とすのにそう時間はかからないらしい。
「何でその魔神は俺たちがここに来ることを知ってたんだ?」
「彼は君を知っているようだった。城が壊された時も面白がっていたし......もしかして2ヶ月ほど前にリンビラスに現れた子供とは君のことか?」
「え?はい」
何故そこまで知っているのだろうか。2ヶ月ほど前といえば転生して間もない頃だ、その頃の神の知り合いといえばあのスキルをくれた神だ。治癒の勇者は言っていた。神による呪いがかかっているのだと。
「まさか、全てが仕組まれているわけないよな」
〜全ての因果関係から計算し、推測することが可能です。〜
神界書庫からのメッセージ。実の予測通りの結果が出るのだろうか。
〜 解析終了予定日時は1日後です 〜




