魔界の門
「おっはよ〜!魔王様、実くんはまだ起きてないかな?」
「おはよ、フルーラ。彼なら夜中に目覚めたよ」
「よかった〜。みんなにも伝えてくるね〜」
駆け足で去っていくフルーラを見送ると、横のベッドで実が目を覚ます。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
1週間前の魔王城襲撃の事を話す。しかし、やはり彼にはその記憶はなく、詳細を語っても何も思い当たる節がないという。
「まぁでも良かったです。誰も殺してなくて。あ、そうだ。デュアル......フルーラはどこですか?」
「彼女なら君の仲間を呼びに行ったよ」
しばらくしてフルーラが戻ってきた。後ろには見慣れた6人が立っている。グランは泣きながら走り出した。
「うわぁぁぁぁん!」
「おふっ!グラン痛い、痛いよ!離れて」
「なあ実、お前俺達にもいってくれよ。なんで相談もなしに危険なことするんだ」
「そうですよ」
「それはごめんなさい」
「実君、あのね傑君のことなんだけど......」
悪魔界について何か情報が見つかったようだ
そこにいくには魔界の門を開くか、現実世界に顕現している上位の悪魔と交渉するかのどちらか出そうだ。魔界の門は数が少なく、2つは魔族大陸、2つは獣人大陸、1つは亜人大陸、1つはこの大陸に存在している。
「じゃあそこに行けばいいんじゃない?」
「それが結構面倒でね、神聖教皇国ミレイシーズにあるんだけどあの国は国民全員が女神を祀っていて魔界の門を開くことは固く禁じられているんだよ」
俺は個人的にそこには行きたくないとユリウスが言っていたがそういえばあそこは彼の出身地だったか。
「それでなんだけど、1番簡単に使えると思われる場所は亜人の大陸にあるんだ」
「じゃあそこに行きましょう」
「気をつけろよ、あっちの大陸は人族に虐げられた過去があるからな。襲われるかもしれない」
目的地が決まった今、俺たちは亜人と唯一親交のある国に向かっている。その国、ニールズに行くには現在いる武装中立国から小王国連合を経由する。城下街の検問や食料の買い出しなどを行わなければならない。
城下街に入るための検問の列はとても長く、文句を漏らす人も多々いた。
「あれ?ミノルさんじゃないですか!?」
「え?誰だろう」
「俺ですよ!ほら、身の程も弁えずに決闘を挑んで瞬殺されたブライアンです!」
「あぁ!あの時の!お久しぶりです!」
「ミノルさん達は連合に何をしに?」
亜人大陸に向かっていることを伝えると、彼は表情で訴えてきた。その顔は俺に任せてください!と言っているようだった。
「実は俺、ここの国の王様とオーガの王族と仲良いんすよ!だから、つまり、俺に任せて頂ければこんな長い行列になんか並ばずに済みます。しかも亜人大陸への安全な渡航もほぼ確定します」
まさか、この男にそんな人脈があるわけがないだろう。と、実達は口には出さないが共通の認識だった.......まさか、本当だったなんて。
行列を無視して先頭に向かい門兵に話しかけた時は周りの人が怖かった。だが、すぐに中に入ることができたので彼らは驚きを隠せずにいた。
「おぉ!ブライアンじゃないか!久しぶりだな」
「久しぶりー。会ってばっかりで申し訳ないんだけど頼みを聞いてくれないか?」
彼は鬼人族のダラスに実達のことを説明し、亜人の大陸へすぐに渡りたい旨を伝えた。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫だって!俺よりも強いけど、悪い奴じゃないよ。それになんてったってこの人は勇者なんだから!」
「じゃあ、まぁ大丈夫か。親父には絶対に言うなよ」
「ありがとな」
「ありがとうございます」
無事に亜人大陸に渡ることができた一行は亜人大陸中央部に位置する無人区域、不毛の大地を目指し進行している。そこには水が存在せず、作物は育たない環境で誰も住むことができない場所だ。そんな場所の中に魔界の門が存在している。
「もう少しで見えてくると思うよ」
荒れた丘を登頂すると禍々しい門が見えてきた。あの門こそが魔界の門だ。
「ん?誰だろう。あそこにたくさん人がいるよ」
100人ほどの兵士が立ち並んでいた。それはまるで誰かを待ち受けるかのように。
「誰か望遠鏡持ってない?」
「持ってないな」
「私に任せてください!」
水の竜人アヴィはレンズのようなものを作り出し実に差し出した。
「すごいね。こんなこと知ってるなんて」
「当然です!」
魔界の門を囲んでいた兵士達は魔人軍と同じ服装をしていることから魔人と判明した。
戦闘はなるべく避けたいが魔界の門を開ける以上、彼らと接触しなければならない。
「ん?あれ?こっちにきてない?」
魔人の軍が実達を目指し走り出した。その後ろでは魔法陣が多数展開され攻撃が開始された。




