開戦
別の世界
「おいおい呪いが解かれちまったぜ」
「人間程度に解呪されるなんてお前本当に3級か?」
「セキュー、もう一度かけれるか?」
「無理だな」
呪うことができる回数はひとりの人間につき一度だけだ。しかし、等級を上げることでその回数をリセットすることができる。等級を上げることはとても難しく1つ等級を上げるのに長い者で10兆年ほどかかるそうだ。
「等級はそう簡単に上がるものではないしな......まぁいい下界行ってくる。」
過ぎたことを嘆いても仕方がない。それに呪いが解かれようと後は勝手に動いてくれるだろう。それに、あの異分子も悪魔界に連れてかれたしその代償と考えれば安いものだ。
「なんだ......これは?」
満身創痍の者が多くさらに魔神の怒りに触れるのではないかと身も心もボロボロな魔人達。下っ端は未だ目を覚さないのでそんなこと知る由もなくすやすやと眠っている。
「はっ!ま、魔神様。申し訳ございません。裏切り者と人間の協力者に襲われ城を消されてしまいました」
「クフフフ、フハハハ!いい!いいぞ!田中実ぅ、この時期にここまでの成長を見せたのはお前が初めてだ」
「あの、もう一つ。魔王が連れ去られました」
「おぉ!面白くなってきたぁぁあ!」
何故かこれだけ多くの被害を被っているのにも関わらず高揚した様子のリエビル。彼が魔王を生かしておいたのはもしかしたら覚醒し脱出するかもしれないからだった。それも全ては自分が楽しむためであり器の成長を手助けする可能性が高いことを見越しての行動だった。
「再構築」
リエビルは即座に城を復活させると不気味とも取れるほどの満面の笑みで、幹部達を集めた。
「お前らに神の祝福を授ける。魔神の権能、悪の膨張を1段階だけだ。他の種族を襲いまくれ」
「つまり、これは......」
「そうだ、これは戦争だ」
魔王軍改め魔神軍の幹部に力が与えられ総力が今までの比ではなくなった。彼らはかねてより親交の深い獣人大陸南部に国を構える蜥蜴や蛇の獣人の国へ向かい同盟を結ぶ。さらに北部の国々とも同盟を組み始めた。しかし、1国だけはその申し出を断った。その獣王国ボーヒバグは魔神軍に敵と見做され攻撃の対象となってしまうのだった。
「奴の新たな器も探さなければな」
「新たな器?」
「いや、なんでもない。さっさと行け」
*****
「う、うぅ。ここは?」
辺りを見渡すとそこは見覚えのある場所だった。アーニチュラリー国内にある高級ホテルだ。隣のベッドには魔王が寝ていた。虫の鳴き声だけが聞こえる静かな夜に目を覚ます。
彼は横の男性は誰なのかが不思議でならなかった。
「あれ?確かデュアルが部屋に入ってきて.......うっ!」
身体中が軋み悲鳴をあげている。自分は何故こんなにもボロボロなのだろうか、と考えていると横の男性が目を覚ました。
「大丈夫?君が眠ってから1週間は経つんだけど」
「1週間!?俺そんなに寝てたんですか?」
「あぁ、そうだよ。君が暴走して僕がそれを止めたんだけどそれからずっと寝っぱなし」
「暴走?暴走したんですか?あとあなたは?」
「憶えてないのかい?君が何をしたのかも」
「え、えぇ......」
夜も遅いということで話の続きは日が昇ってからすることにした。




