下準備
「セキュー、いつも通り器に呪いを頼む。」
「もうやってあるよ」
「ゼイン、今までの周でリストアップしてきた女どもを殺しといてくれ」
「あいよ」
器を覚醒させる座標に存在する無数の並列世界に器を殺した後で滅亡させてきた。
約1兆個目の世界でも今までと同じように仕掛けを組み込む。
1. 魔王を捕らえ魔人領を手に入れる、又は味方につけ、実質の魔人支配
2.12人存在する勇者のうち器の転移先の国の者を殺し、傀儡の勇者をつくる
3.器の転移先の国を丸ごと呪いにかけ、洗脳する
4.過去の周で器と親しい間柄の人を殺す、又は封印する
5.世界中の色々な身分の人を数人呪い、洗脳する
この5つを遂行した後、器を転生させる。
「少し行ってくる」
そう言い放ち魔神自ら魔王城に向かう。
「はぁ......なんで魔王なんかに」
「デイル様は選ばれたのですよ!もっと自信を持って下さい!」
「でも俺、魔王なんてむいてないよ.....」
誘拐、殺人、戦争、悪の限りを尽くす魔王。
そんな魔人たちが憧れる役職を嫌う歴史上珍しい青年がいた。
彼の本当の名は神城聖也、15歳の時に前世の記憶が戻った時には時期魔王候補になっていた。
せめてもう少し前なら相応しく無い行動を取っておけたのだが、遅すぎた。
正式に魔王の座を引き継ぐ式の前日、幹部のみで行われた会議中彼らが座る円卓が爆ぜた。
「勇者か!?」
「いや、まだそこまで成長して無いとの情報があるからそれは無いだろう」
突如円卓の中心に現れた男は8人の幹部に相対する。鑑定しようとした者は失明し、攻撃しようとした者は遥か後方へ吹き飛んだ。
「もう話してよいか?」
男の名はリエビル。彼は自らを神と名乗ったがそれに反論する者はいなかった。
彼は今までしてきた事とこれからの計画について思念を飛ばした。
「ところで魔王はどこだ?」
「奴はダメですじゃ。殺すなり幽閉するなり好きにしてくだされ」
「お前らの王だろ?そんな簡単に......」
***
これまでの周では基本的に魔王は刃向かってくるか従順に従っていた。しかし、部下に見捨てられるような奴でもなかった。恐らく新たな不確定要素か。
さて、どんな奴か楽しみだ。
魔を司る神とはいえ礼儀くらいは弁えている。魔王の部屋だと案内された部屋にノックしてから入る。
「はーい......っと何方ですか?」
なるほど。この男は今までの魔王など足元にも及ばない魔力を有しているが、魔のオーラが微弱すぎる。更におかしなことに魔族では持つはずの無い聖のオーラが感じ取れる。
どおりで部下から魔王に相応しく無いと思われる訳だ。
「神だ」
「かみ?何の用ですか?」
「申し訳ないがお前を幽閉させてもらう」
殺してもいい。ただこいつが何か面白いことをしそうな気がしたので生かしておこう。
とはいえこれで下準備が一つ完了した。




