アーニチュラリー武装中立国
「はぁ」
「あっあの時の」
どうやってここへ入ったのかは知らないが昼間の人は会場拠点にまで姿を現した。何故かライトたちは面識があるようだが、何かあったのだろうか。
「ライトはこの人と会ったことあるの?」
「さっき誘拐されてた時に助けてくれた」
護衛をつけておきながら気付けなかった。こんなことは二度と起こさないようにしなければならない。
「初めまして社長さんっ!突然だけど君たちの仲間に入れてくれないかい?きっと役に立てるよ」
「突然だな、まぁいいけど。彼らを助けてくれたことはわかったが、信用したわけじゃないからな」
デュアルは精神攻撃が得意だそうで、霧魔法と組み合わせて闇夜を駆けるうちに都市伝説になってしまったそうだ。
「ありがと〜これからよろしくねぇ〜」
翌日以降は傑の会社を本格的に回し始めた(働かなくとも一生食っていけるほどの金を持っているのだが)そして、九人は行商をしながら世界を旅し始めた。
旅の途中で魔王軍が襲ってきた場合、魔神大陸に最も近い帝国が襲われやすいことから心配はあったが、皇帝が遠距離連絡魔法を開発したため、情勢を聞くことが可能になった。いざと言う時は実が全力で走るなり、竜に乗って飛んでいくなり方法はあるので安心だ。
行商中の一行は現在、フォルセディン帝国の隣国であるアーニチュラリーに滞在していた
ここは武装中立国で他国同士の戦いは無視して自国に危険が迫った時は敵国を完膚なきまでに叩きのめす。人間の国の中では最強の、最先端の軍事力を持つ国だ。
大きな特徴と言えば国を囲む巨大な壁と十メートルごとに配置された警備兵とその装備だ
壁の厚さは十メートルで高さは二十メートルだ。
警備兵の標準装備はこの世界では唯一この国だけが技術を持つ遠距離武器。銃だ。
実と傑は火縄銃程度のものだと思っていたが、魔法が付与された、リボルバーやボルトアクション方式のライフル、さらにはサブマシンガンのようなものまで存在した。
「すごいな、あれ欲しい」
「だよな。でも売ってるかな?」
残念ながら売っていなかった、それもそのはず自国防衛の為に作った武器が他国に回ってしまっては意味がないだろう。
「あの武器はなんだ?」
「知らないんですか?」
「あぁ、この国は戦争こそ起こさないもののこの壁を見てわかる通り、外交をほとんどしないからな」
だから銃というものを見たことはあってもそれがなんなのか知る人は少ない。外交をほとんどしないと言っても一般人にとっては商業の発展した買い物に最適な国として重宝されるのだが。
色々な店を周り興味を持った商品を片っ端から、それでも店に迷惑がかからない程度に買い占めた。ギアやモーター、時計といった機械類も多くあった。お金については傑が呪いの様に持ち歩いているし、鞄については実が無制限の収納空間を有しているので買い物に心配はいらない。
「たたた、助けてください!」
急に背後から飛び付かれれば誰でも驚く、もし飛び付いた相手がプロの殺し屋などだったらカウンターを食らっていただろう。
「どうしたんですか?」
「私、追われていますの。どうかお助けください」
彼女はそう言ったが、周りには追手など見当たらない。詐欺かなんかだろうか?などと考えていると耳元で金属同士がぶつかり合う音がした。
「いやぁ〜、ミノルくーん。危なかったねぇ〜。君は何者かなぁ〜」
何もない場所から二人の人物が現れた。片方はデュアル、もう片方は知らない女性だ。すると、横でユリウスが自分の持ち物を落としてしまった。何か彼の様子が変だ。荷物を拾おうともせず、呆然と女性を見つめている。「ユリウス、さん?」
「お前は、まさか.....」
「あら?久しぶりね、元枢機卿の子、そして大罪人ユリウス・ネクシディナル」




