至福の時は長くは続かない
新キャラ登場です
その後、皇帝に呪術書をアップデートしてもらい帝宮をあとにした。
「最近は忙しかったな」
「そうだね。疲れも溜まってきたし、冒険者業を一旦休もうかな」
「そうだな。お金にも困ってないし」
「ラヴァみんなとあそびに行ってきなよ」
実が声をかけると、いいんですか?と聞いてきたので答えようとするとグランが走って行ってしまった。
「はぐれないようにね。」
「はい!」と言い残しグランの後に続いて行った。実は念のため小型のゴーレムを何体か作り護衛につけた。そして、残った三人もその場で解散した。
<実>
「すみませーん。このケーキください」
「はーい。銅貨三枚ね」
甘いものが好きな俺はこの街の人気スイーツ店に訪れていた。傑がお金をくれようとしたが、流石に断った。美味しいな。自分の稼ぎだけでも十分だ。しかし、そんな至福の時間は長くは続かなかった。あぁケーキうまっ。
「やっと見つけたぜ。ついてきてもらおうか」
「へ?」
公園のベンチでケーキを味わっていると三人組の男が現れた。どうやらトラブルに巻き込まれたらしい。人違いではないかと聞くとそんな筈はねぇと言い返されてしまった。ここは一旦大人しくついて行くとするか。
大人しくついていくと人気少ない路地に連れて行かれた。人数も増えて十数人程いる。悪の組織に目をつけられたんだろうか。でも思い当たる節は......あるな。あったわ。そういえば三大盗賊ギルドの長みたいなの倒してたな、こっち来て最初に。
「あんたがあの人を......」
「お困りですか?お兄さんっ!」
何故か何も無い空中から人が降ってきた。その人がやったのだろうか霧が立ち込めてきた。目の前にいた人も判別できな程濃い霧が。そんな中何者かに手を引かれ大通りに出ることができた。
「危ないとこだった。お兄さんは奴らのこと知ってる?」
「いや」
あなたのこともな。
「奴らはレヴィアタンの幹部だよ。何かしたの?」
彼らのボスを捕まえたことを伝えると、
「あーあれお兄さんだったんだ。ずっと探してたんだ。俺を仲間に入れくれないかな?」
怪しい、それが第一印象だ急に上から降ってきたあたりずっとつけられてただろうし、あの霧もそうだ。なんならこの男とも女とも取れない顔立ちの彼の方が先ほどの奴らより悪っぽい格好をしている。先日戦った魔王軍の幹部と似たようなデザインで裏地の太陽のように眩いオレンジが目を引くロングコートだ。見るものを魅了するアメジストのような鮮やか眼が特徴的だ。
「君は何者なの?」
「俺の名前はデュアル、この国じゃあ闇に巣食う化け物の都市伝説で有名だよ」
化け物?都市伝説?自称ってことかな。でも本当にしろ嘘にしろやばい人なことだけはよく分かった。ただこの申し入れを受け入れるか否か判断が難しいな。
「断ったら?」
「んー、俺はあっちの陣形に関わっているわけでも無いからね。俺が君に直接害をなすことはないよ」
あっちの陣形とはなんだろうか。彼の言い方からすると断ったら他人を使って俺を襲わせるんだろうな。
「俺の仲間にも聞いてからでいい?」
「もちろん!今はさほど忙しくないしね」
その後彼は「仲間と合流できた時にまた会いにいくよ」とだけ言い残して霧に隠れてどこかに消えてしまった。
「あいつは何なんだよ!てか俺たち何しようとしてたんだっけ?」
「あぁん?そんなの決まってんだろ後もう少しで......」
夕闇が迫る薄暗い路地で取り残された男たちは落胆する。
<竜人>
「おい!ちょっと待てってグラン、はぐれるぞ!」
「わかった〜」
街を走り抜けるグランにようやく追いついたラヴァだったがここであることに気がつく。「他の三人がいない!」
「え⁉︎みんなは?」
「とにかく探そう。ミノルさんを見つけたら伝えてくれ」
「う、うん!わかった」
帝国の中央都市ということもあり範囲が広いライト、レン、アヴィはおろか実に会うことも難しいだろう。実がゴーレムを護衛につけているのであまり危険はないだろうが、逸れたことを見逃すはずもないだろう。しかし、ちょうどこの時、タイミング悪くデュアルが上から降ってきたのだ。そのせいで気がつくのが遅れていた。




