進軍準備
迷宮を無事攻略し入り口のある部屋に戻った実達だったが、そこである情報を耳にした。
それは迷宮内に入ると何故か出られないのだという。最初のうちは入る事は可能だったが、実達が入った時からは中に入ることすらも不可能になってしまったらしい。
「なんで出れないんだ?」
「最初のうちは入れたってのも不思議だな」
「おおーい!塞がってた扉が開いたぞー」
誰かがそう言うと、中にいた全員で外に向かった。外に出れた事はよかったのだが外の光景を見た人達は喜んでいる場合ではなかった。迷宮が発見された街は割と大きく沢山の人が行き交う商店街がある発展した街だったが、そこに広がっていたのは広大な荒野だった。
混乱する冒険者達の前に黒い雷が落ちてきた。そして、中から人が、いや正確には魔人が歩いてきた。
「やぁみんな〜!ども〜!ごめんねぇ〜みんなの街消しちゃったぁ〜」
雷を模したデザインの黒衣を着てフードを深く被った魔人が放ったマチヲケスが街を消すに変換されるまで少し時間がかかった。
「お、お前は何なんだっ!」
「えっ私?う〜ん......教えて私になんかめりっとあるのかなぁ?それに君のその態度?なんか気に入らなかいから消しちゃおっと、えいっ!」
ある程度の実力を簡単に消すと言う事が本当ならば相当な力を持っている事だろう、しかしそれよりも神速を使いギリギリの所で冒険者を助けることを優先し実は全速力で人混みを駆け抜け救出した。
「あ、ありがとう。助かったよ」
「え〜?私の攻撃の速さ超えれる人間っているんだ〜。まぁ今回の任務はもう終わってるし、またね〜」
そして、現れた時と同じように黒雷を纏い暗雲の中へ消えていった。それとほぼ同時に帝国騎士団精鋭部隊が到着した。実達は一応指名手配犯なのでフードを深く被り顔がバレないように努めた。騎士の話によるとこの街だけでなく、帝国領の境界線付近の町がいくつか壊滅させられているらしい。そこで、皇帝直々に指揮を取り魔人達からの攻撃を凌ぐ軍を作るらしく、参加資格(とは言っても満たしていればほぼ強制なのだが)は冒険者ランクⅧ以上に匹敵する力を持つ者又は騎士団所属者に与えられる。勿論実達も資格はあるのだが途中で捕まることも考えられるので今回の集結には参加せず身分を1度隠すことにした。
「現在指名手配されている者は一時的に免除し参加を強制する!」
どうやら皇帝は俺達無しで戦う気は無いらしい。もしかしたら他の強力な指名手配犯のためなのかもしれないが。しかし、ふと思った圧倒的な力の差を見せつけられた冒険者達の中には参加したくない人も居ると考えられるしそもそも集結場所に行かなければいいだけの話だ。もし人が集まらなかったらどうするつもりなのだろうか?そんなことを考えていると全員の足元に巨大な幾何学模様が描かれ始めた。
「また攻めてきたのか!?」
「この大きさじゃあ助からねぇよ」
突然の大規模魔法詠唱により場は更に混乱を極めた。しかし、その魔法陣は攻撃ではなかった。一瞬にして景色が変わったかと思うと、周りには先程の何倍もの人が集まっていた。
「強制転移か!?こんな魔法存在するのか?ましてや人間が使えるようなものなか!?」
今まで迷宮を何度も攻略してきた実達にとっては普通の事だったが、彼等以外の殆どは転移の魔法の存在自体に驚いていた。皇帝がこの魔法を使ったのだろうか、だとしたらものすごい魔力だ。
「良くぞ集まったな。兵士達よ。お前らには魔王軍の討伐ゆくゆくは魔王領の占拠を行ってもらう。心してかかれ。」
「へ、陛下!恐れながら我々程度の力では幹部すら倒すことは出来ないでしょう」
「貴様っ陛下からの栄誉ある任務に背くというのか!」
「い、いやそういう訳では......あなたはあいつらと戦ったことがないからそんなこッ!?」
最後まで言い切ることは出来ず彼の首と胴体が離れてしまった。反抗したらすぐに殺すという見せしめなのだろうか。
「ここからは私が指揮を執る!私は新生近衛騎士団団長レピットだ。進軍開始は2日後日の出直後だ。それ迄に準備をしておけっ!」
返事をしたのは近衛と帝国騎士だけだった。
そういえばグラハムどこいったんだろうと考えつつもまぁあの人面倒だからいなくていっかと納得した。
「リエビル様。帝国の方で動きがあったようです。進軍の準備をしております。それとフルーラがある程度の魔力を込めて放った攻撃の速さを超える人間が現れました。」
「お前は話が長いな。思念を飛ばせばいいだろ。進軍かー人間の強いヤツが沢山来るのか。3分の2がやられた軍は全員消すって伝えといて」
「御意」
老人が消えたあと本来別の人が座るはずの玉座で男は不敵な笑みを浮かべる。
「あいつも来るかなぁ?いい感じにことが進んできたな」




