20年前のある日の出来事
近くの町の病院に運んだ時には傑もヘトヘトだったのでそのまますぐに寝てしまった。
「う、んあ?もうこんな時間か。ってあれ?ここどこだ?」
ユリウスが辺りを見渡すと見覚えのない部屋だったので困惑したが、病院だと分かると横で寝ている傑が自分を運んでくれたことに気がついた。
「ありがとな、スグル。」
もう周りも暗くなってきた頃だ。
「うしっなんか食べ物買ってくるか」
街へ出てみると、暗くなってきたとはいえ1人も歩いていない。病院から出る際にも医者や患者が1人もいなかった。
「なんなんだ?ここは。なんでだれもいねぇんだ?」
疑問を抱えつつユリウスは街を探索することにした。
少し経って傑は目を覚ました。
「あれ?もうこんな時間か。ユリウスさんはどこに行ったんだ?」
そして、傑も人がいないことに気がついた。
「ユリウスさーん!」
大きな声で叫んでいると、大きな町だったこがユリウスがすぐに呼びかけに気が付き街の教会で合流することにした。
「これは一体どういうことだ?」
「おかしいですね。昼間に来た時は人も沢山歩いていたのに」
「そうなのか?ならどこかに人がいないか探してみるか。」
街中を探し回ったが誰もいない。すると病院の方から男の叫び声が聞こえてきた。
警戒して病院の中に入ると先程見たときとは全く別の場所だと思えるほど姿が変わっていた。綺麗だったはずのロビーや廊下は崩れ穴が開いているところもあったさらには病院内の至る所におびただしい数の血痕が付着していた。
「きみが悪いですね」
「あぁそうだな、そういやここってどこなんだ?」
「どこって病院ですよね?」
「いやそうじゃない長年旅をしてきたがこの辺にこんな街はなかったはずだ」
行商生活が長いユリウスは今まで行った街やその周辺は全て記憶している。
彼が倒れる前に行商をしていた所は今までに何度も訪れたことのある場所でその近くにはこの規模の街はなかったという。
すると、何かが倒れたような大きな音がした
「なんだ?」
「下の方から聞こえてきましたね、行ってみますか」
地下へ向かう階段を見つけると急いで下に向かった。
しかし、そこには何も、置かれていない広い空間があるだけだった。
傑がふと足元を見た時に一冊の本が落ちていることに気がついた。
それは20年前の人の手記だった。
『これを君が読んでいるときには私はおろか街すらもなくなっているだろう。
時間があまり無いがここでなにが起こっているのかをここに記しておこうと思う。
646年のある日1人の雪の結晶の指輪をした男がこの街に現れた。
その男はこの辺では見かけない人だったが、人柄がよく私たちの生活を良くしてくれたためすぐに街に馴染んでいった。
それから何ヶ月か経って村から人が少しずつ消えるようになった。しかも消えた人たちは決まって1週間後に街の中心にしたいとなって現れたのだ。
街の住人たちは誰かがやったことだと確信した。それからは犯人が死体を置きにくるところを捕まえようと交代で死体が現れるところを見張ることにした。しかし決まって消えた人々の死体は1週間ごとに現れる、それを見た見張は誰もいない。
ある日のことだった、私の診療所に住人の1人が駆け込んできた。
どうしたのかと聞くと、
「はっ犯人は、犯人はあ、あいつだった。信じてたのに......」
と言い残すとそのまま息絶えてしまった。
私は焦った、あいつとは誰のことだと。
その男が息絶える直前に私に渡そうとして何か落としたものを探した。
落とした物を拾って私は驚愕した。
それはあの親切な男のものだった。
まさかあの人が犯人?まさか、そんなはずがない。あんなに親切にしてくれた人が?
あーあばれちったか。
どこからかそんな声が聞こえた。
聞き間違えようのない特徴的なあの男のしわがれた声、それを聞いて私は確信した。
あの男こそこの街で殺しを行っていたのだと
私は男がいつも街にいない時間帯に街の生き残りを集めことの経緯を話した。
住人の中にはあの人がそんなことをするわけがないと怒るものもいれば、泣き崩れるものもいた。
私はあの男が知らない地下室へみんなを匿うことにした。
ダメだった。意味がなかったのだ。
あの男の前で逃げ隠れすることは無駄だと知った。
奴は街の中心ではなく地下室に死体を置くようになった。
ここまで来るともうダメだと街から出て助けを呼びに行こうとするものも現れた。
それを止める者もいたが助けを呼びに行ってしまった。
しかし助けは来ることはなかった。
その人が他の街にたどり着けなかったのか、
それともたどり着いたが助けを呼ばなかったのかは今になってはわからない。
もう街には私を含めてあと5人しかいなくなった。
とうとう奴が来たようだ残りを殺すために、
他の住人の叫び声が聞こえる。
私ももうダメだこれを読んでいるのが私たちを殺したものでないことを祈る。
仇をうってくれとは言わないしかしこれを伝えてくれ、私の願いはそれだけだ。
忘れないで 』
「酷いなじゃあ昼間の人はなんだったんだ?
過去の街と繋がってたのか?」
「そうかもしれませんね」
『あーあ、ばれちったか』
「誰だっ!まさかお前」
『そうだぜ俺はこの街を消した。
俺の名はゼード、またお前とは会いそうな気がする。じゃあな。』
「おいっ!待てよっ!」
「ダメだっスグル待てっ」
ユリウスの声で一度止まった。
止まっていなかったらもう死んでいたかもしれない。目の前にはどす黒い大量の刃があった。
「ありがとうございます。ユリウスさん」
「あんまり突っ込まないでくれよ。あいつは危険だ相当強い。人間ではないかも知れん」
人間と最も似た種族は魔人族のみだ。
もしかしたらあの男は魔人かもしれない。
そうだとすれば今の傑では太刀打ちできない
あの手記を近くの街のギルドに提出した。
聞いてみるとあの街はいつの間にか人がいなくなって今では地図にも載ってないという。
またいつか会うかもしれないとゼードが言っていた
次会うときには絶対に倒すと心に決めた傑は
そのいつかがくるときに備えつつ行商を続ける。




