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遠野 三雲  作者: 雨世界
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 ……鞠は、もう自分の中では大橋くんのことは振り切っているつもりだった。

 そう、決着はついている。

 ……私は勝負に負けたのだ。

 南が勝って、私が負けた。……ううん。そうじゃない。最初から、勝負にすらなっていないのかもしれない。

 だって私は大橋くんに告白をしていないから。

 ずっと自分の気持ちを隠したままで、大橋くんに片思いをして、そして、南が私に「私、大橋くんに告白をしようと思うんだ」と相談してきたときに(今思うと、きっと南は、私が大橋くんのことを好きなことを知っていて、それでそんなことを私に相談してきたんだと思う)、私は南に「南と大橋くんならお似合いだと思うよ」と、そんなことを言っていたのだから……。

 私は臆病者で、南はそうじゃなかったというだけの、……お話。

 私は大橋くんにふられることが怖くて、今の大橋くんとの関係が壊れることが怖くて、なにもできなかったけど、南はそうじゃなかった。ちゃんと『勇気を持って、自分の気持ちを相手に伝える』ことができる人だった。

 それは、すごいことだし、私はそんな親友の南のことが、尊敬もしていたし、なによりも大好きだった。


 南が綾と付き合い始めてから、南から電話があって、鞠は南と綾のことについて、きちんと二人だけで話をしていた。(南は卑怯なことはしない。まっすぐな性格の女の子だった)

 ……きちんと話をして、もう決着がついた話だった。あとくされはなしにしようと、鞠から言った。これはもう『過去の話』なのだ。……この私の思いは、……私の痛みは、……もう『過去の思い』であり、『過去の痛み』なのだ。

 そう思っていた。

 そう自分に必死になって言い聞かせていた。

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