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遠野 三雲  作者: 雨世界
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 雨はみんなのところに走って行った。

 そして、先生と教室のみんなと一緒に、卒業の記念に集合写真を明るい笑顔で撮った。

 その中には、もちろん水瀬守くんもいた。

「じゃあね、雨」

 気をきかせて、愛はそう言って瞳と一緒に先に中学校をあとにした。

「じゃあ、またあとでね、雨」

 瞳が言う。

 それから瞳は、雨に顔を近づけて小声で「キスしちゃいなよ」と雨に言った。

 雨はこのあと、愛と瞳と一緒に八橋(いつもの帰り道の途中にある、川沿いの大きな橋の近くにある駄菓子屋さんの名前だ)で合流して、それからそれぞれの家族と一緒に近所のお店(お好み屋さん)で、卒業祝いの食事会をすることになっていた。

 そこに水瀬くんの姿はない。

 水瀬くんの引越しは、卒業式から三日後の予定だった。

「雨」

 背後から、そんな声が聞こえてきた。

 雨がその声を聞いて振り返ると、そこには水瀬守くんが立っていた。

「守くん」

 と、雨は言った。

 雨は水瀬くんの顔を見ながら、大丈夫。ちゃんと練習してきたんだから、と思った。

 水瀬くんは雨のすぐ目の前までやってきた。

 雨はじっと水瀬くんの顔を見る。

 世界は無音。

 二人の周囲に人影はない。

「守くん」

「はい」

 水瀬くんはいつも通り、真面目な表情をしている。でも、出会ったときほど、その表情は硬くなく、少しだけ柔らかくなったと雨は思う。

 その理由の一つに自分の存在があれば嬉しいと雨は思った。

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