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遠野 三雲  作者: 雨世界
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「愛、今、好きな人いるでしょ?」

 雨の言葉を聞いて、あ、やっぱりか、と愛は思った。

 愛は無言のまま、ソーダ味のアイスを食べ終わる。

 そのアイスのなくなった小さな木の棒には、『はずれ』の文字が書いてあった。

「その好きな人ってさ、水瀬くんのことだよね?」

 同じようにソーダ味のアイスを食べ終わった雨が愛を見る。

 雨のアイスは、きっと、『あたり』なのかな? と愛は思ったりする。

 雨の表情は、真っ赤な色をした太陽が明るすぎてよく見えない。

 なんだか雨は悲しそうな、少し怒っているような、……あるいは、愛のことをすごく心配してくれているような、そんないろんな表情を一度にしているように、愛には見える。

 ……雨は、相変わらず優しいな。

 そんなことを愛は思った。

「うん。そうだよ」

 にっこりと笑って愛は言う。

 ここまできたら、ごまかしてもしょうがない。自分に落ち度があったわけでもないし、こういうことはきっと世界中でたくさん起こっていることなのだと思う。

 でも、どうしてばれてしまったんだろう?

 自分の気持ちは、いつものように、うまく隠していたつもりなのに……。

 つい最近まで、雨には愛の水瀬くんのことが好き、と言う気持ちはばれていなかったと思う。(そうでなければ、雨は愛に水瀬くんのことが好きなんだ、と言う話はしないだろう)

 愛は最近の自分の行動や言動を振り返ってみたけれど、それらしいところはとくに発見することはできなかった。

 だとすると、それはつまり、愛の一番の親友である遠野雨本人が、いつの間にか愛の知らないうちに成長した、ということなのだろうか?

 じっと、自分の顔を見つめている遠野雨のすごく可愛らしい顔を見ながら、そんなことを浜辺愛は考えていた。


 それから二人は夕焼けに染まる土手の河原の草むらのところに座って、しばらくの間、二人だけの内緒のお話をして、それからいつものように、分かれ道のところで別れて、別々の家路についた。

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