ヘモグロビン転生。
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俺はヘモグロビン。
え? コイツ何言ってんだって思っただろ? もちろんそう思われる事は俺も覚悟の上だ。
しかし……実際俺は現在、とある女性の体の中を常に駆け巡る。
【ヘモグロビン】になっている。
過去に石ころや鳩時計に転生した俺は、謂わば【良く解らない転生】をするプロだ!
鳩時計として、時計屋の親父に分解という最後を与えられた俺は、気が付くと【ヘモグロビン】に転生をしていた。
しかも【誰か】の体の中を流れるヘモグロビンだ。
因みに、この女性? らしき人物の中を駆け巡るヘモグロビン全てに、意思と自我がある。何故そんな物がヘモグロビンに必要なのか、始めは理解が出来なかった……
とある出来事に遭遇するまでは。あれは俺がヘモグロビンに転生したての頃の事だ……
『おい! 新入り! 出番だ!』
出番? ヘモグロビンの出番って何だ? そんな困惑が頭の中に渦巻いていた。
「出番って何ですか?」
先輩ヘモグロビンに俺は聞いてみると。先輩ヘモグロビンは親切にも教えてくれた。
『俺たちヘモグロビンの宿主であるこの人間にはな、自分の血液を自在に操ると言う、特殊な能力があるんだ!』
「え?」
先輩ヘモグロビンが言うには、この能力を宿主が使う為には、我々ヘモグロビンが頑張る必要があるとの事だ。
ハッキリ言って何を言ってるのかよく理解出来ずに、困惑をしていた時に突然。俺は今まで居た動脈と言う血管の中から、外の世界へと飛び出していた。
『今回の狙いは、あの鋼鉄の剣か! 硬そうだな、血がたぎるぜ!』
先輩ヘモグロビンはそう叫ぶ。血がたぎるって、貴方そもそも【血】じゃないですか……
俺はそんな熱く燃えたぎる先輩に、がっしりと体を掴まれ、先輩と一緒に鋼鉄の剣に目掛け飛んでいく。
俺の体が剣に触れた……
硬い当たり前の事だが、とてつもなく硬い。俺が心折れそうになった時に。
『新入り! 気合いだ! 気合い入れろ! これまでにも数多くの先達ヘモグロビンの築き上げてきた力を、その力を引き継いでいる自分の事を強く信じろ! 必ず鋼鉄の剣だろうと切断出来る!』
先輩ヘモグロビンの叱咤激励を身に受けて俺は、気合いを入れる。こんな剣ごときに俺は負けん!
そうして役目を果たした俺と俺の事を気に掛けてくれた先輩ヘモグロビンと、一仕事終えた爽やかな気分で、元居た血管の中に戻って行った。
血管の中では、動脈も静脈も関係無く、やりきったヘモグロビン達でお祭り騒ぎだ。
『お前なかなか根性のあるヘモグロビンだな』
先輩ヘモグロビンが【糖】と【酸素】持って俺の元にやって来た。俺は先輩ヘモグロビンから、糖と酸素を受け取り、先輩の持つ糖と酸素とを合わせて乾杯をした後に、一気に体の中へと取り込んだ。
俺はヘモグロビン。次の活躍の場が来る事に思いを馳せながら、今日も宿主の体の中を動脈から静脈また動脈へと、休む事無く駆け巡る。
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