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短編集

「祈りの鐘」

“カーン・カーン・カーン”…

静寂の中、町の中の教会の鐘が響く。その教会には年老いた男が一人いるだけ。彼はひとりひたすら祈り続けている。それがだれのためになどはわからない。しかし祈り続けている。

“カーン・カーン・カーン”…

また教会の鐘が響く。それに合わせるように小鳥が囀りだす。

彼がなぜこんなになっているのかって?では、見に行くとしましょうか。彼の壮絶な過去を。


 嵐が渦巻くなか、彼はこういった。

「国を変えるために我らが立ち上がろうぞ!!」

「うおおおおお!!」「俺はやってやるぞ!」教会の前で青年が威勢よく民衆の前で語っている。これから嵐や時代の流れさえも渦巻こうとしている。そんな先頭に彼は立っていた。名前はシャベール。

世の中は皇帝が独裁をしているような時代。民衆は高い税金に不公平な法律。そんなものに嫌気がさしていたのである。そんななか時代を変えたいと思った青年が現れた。それがシャベールである。

 しかし、国は変革を求めるものを嫌がる。変革を求めようとしている彼も目をつけられている一人だ。

 

 教会のまえで行われている集まりを聞きつけた公安は集まっている民衆をかき分け、シャベールをとらえようとする。しかし青年の彼にとって逃げるなどたやすい御用。ひょいひょいと逃げていく。待ち構えている警官の剣なども華麗によけていくのであった。逃げ切れることは毎回のことであった。そして隠れ家に身を隠すのであった。その家には、若いながらも結婚を誓った彼女が待っている。いつもなら、、



 彼は彼女が帰ってくるのをひたすら待った。家の中も町の中もくまなく探した。そしてどうしようか悩んでいるときにふと一通の手紙が届いた。


〔青年シャベールよ。

 お主の日ごろの行いが悪いために身代わりとして彼女を処刑した。そして悔いるがいい、国に歯向かおうとしたことを。〕


 と、手紙があった。彼は悔いた。自分のためだけにしか生きていなかったことを。人のため、愛する人のために生きていなかったことを。そして、憎んだ。愛する彼女を殺した公安を。国を。そして、誓ったのである。国を変えてみせると。


 それから彼は、変えるためには力が必要と思い、武器を集めるためにひたすら働いた。仲間を集め、戦力を高めた。すべては彼女のために。そして、あくる年月が経った。彼はもう立派な青年になっていた。武器も仲間も集めた。明日、革命のための戦いを決行する。

 しかし、前日になって彼は迷っていたのである。 この革命をすることが果たして未来のためになるのかと。そして心の中の何かが渦巻いていたのである。そんな時に大太鼓の音が“ドン”と町中になぜか響いたのである。しかし、彼はその音を聞き我に返った。そして、思い出した。ここに来るまでにいくつもの仲間が捕まった。そして愛する彼女も殺された。その人たちのためにもやらなければいけないと。。。


 ついに決行の時。民衆の前で革命を唱えたあの鐘の鳴る教会の前に彼らは陣を作った。そして。

大太鼓の“ドン”という音に続きファンファーレを流す。士気を高め、一致団結するためにだ。そして、誰にも未来が分からない革命が始まったのである。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 短い文章の中で、ここまで表現できるのは凄いと思います! 自分にはできないです……それに、シャベールの行動も想像しやすかったです。 短い文章を歯切れよくポンポン、と入れているのでスピード感…
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