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神に選ばれた俺は  作者: 瀬田 冬夏
俺と神々
9/36

告白と爆発とホイホイ

前回のあらすじ。

物見遊山のつもりでダンジョンにいった。

予想していなかった方向での手ひどい歓迎を受けた。

俺は密かに、あれは冒険者ギルドに叩き付けられた挑戦状だ!! と受け取る事にし、俺達は一人と一柱はダンジョンを去った。

そんな感じである。



 ベロスさまと別れて、教会に戻るとティナさんが居た。

「ティナさん、もう起きて大丈夫なんですか?」

「あ、桐生さん。はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」

「いえ、流石にキツいですからね」

 俺は苦笑一つ。ティナさんもちょっと苦笑い。

 フフフ、同じ事を体験した者にしか分からない感覚だぜ!

「今から買い物ですか?」

「はい」

 はぁ~。ティナさん、かーわいいなー。

 と、至福の時間に浸っていたかったのだが。

 ふと、思う。

 ティナさん彼氏居るのかな? と。

 居ないはずはない。と、思うが、アリスティーさまの信徒がティナさんしか居なかったって考えると、もしかしたらありえるんじゃね!? とも思った。

「ティナさん、不躾な事聞きますが、彼氏居ます?」

 きょとんとされたのは一瞬ですぐに顔を真っ赤にするティナさん。

「い、居るわけないじゃないですか!」

 よっしゃーー!!

「ティナさん! 出会ったばかりですが、好きです! 付き合ってくれませんか!?」

「え、えぇ!?」

 驚きと共に顔をさらに真っ赤にさせていた。

 因みに俺、今割とすんなり告白しましたが、人生初の告白です。

 俺に度胸があるっていうより、ローズベリーさまの影響だろう。

 流石、縁結びの神様。まずは告白しろって事だろう。自分自身びっくりしたよ。

「あ、あの………………。よ、よろしく、お願いします……」

 しばし間があったが、そうOKしてくれた。

「やったぁぁぁ!!」

 ムードもぶち壊して俺は絶叫した。

 ティナさんは顔を真っ赤にして、少し俯いていた。

 恥ずかしいんですね! 恥ずかしいんだね!!

 と、大喜びだったのだが、目があった瞬間凄い勢いで反らされた時にはちょっと冷静になった。

「……ティナさん、もしかして、……俺が教祖だから断れないなって思いました?」

 一抹の不安を覚えて尋ねる。ティナさんは首を傾げ、しばらくして、慌てて首を横に振った。

「違います! そんな気持ちで受けてません!! ……その、恥ずかしくて、顔を背けてしまった事は謝ります、すみませんでした」

「いえ、違うのならいいんです。そだ、お互い、敬語は止めません? 付き合ったわけですし」

 俺から一方的に終わらせるのは不味い気がしたので、そう質問する形で止めるよう話を進める。

「……私は……この方が楽なのですが……」

「そ、そうですか……」

「私はこの喋り方が楽なだけです。桐生さんは話しやすい話し方で話してください」

「……じゃあそうする」

「はい」

 嬉しそうに笑うねぇ。

「あら、少し目を離してる間に、桐生ったら」

 クスクスと笑うように声がかけられた。

 いえ、けして鬼の居ぬ間に等と思っていませんでしたよ?

 余計な虫が付く前にとは思いましたが。

「おめでとう。二人とも!」

「メ、メリーマムルさま、あの、あくまで付き合ってるだけ、なのですが……」

 おめでとうなんて言われるとまるで結婚みたいな気が。

「桐生が一目惚れしてたのは、分かってました」

 ですよね。

 でもオブラートに包んでください、アリスティーさま。

「ティナ、貴方は桐生のどこに惚れたのかしら?」

 き、聞くんですか!? 聞いちゃうんですか!? でも、俺も気になります!!

 俺は耳をダンボにしてティナさ、いやいや、ティナの言葉を待つ。

「凄いって思ったんです。多神教っていう考え方にもびっくりしたのですが、桐生さんの神様方の接し方にもびっくりしてしまって。不敬と言われても仕方が無いのに、でも神様達は嫌がる事もなくて、それはつまり、桐生さんがそれだけ神様達の事を親愛しているっていう事で。ああ、凄いな、って。私もああなりたいって思ったんです」

 と、嬉しそうに話ししてくれるティナ。

 …………好きな人の好きな所っていうよりも、憧れの人の憧れている所っていう気が………。

 ……やっぱり、呼び方ティナさんに戻しとこう。

 メリーマムルさまも、そして当然アリスティーさまも気づいたのだろう、ちょっと苦笑していた。

「桐生、ティナの事、任せました。泣かせてはいけませんよ?」

「もちろんです、アリスティーさま」

 そう答えた。そう答えるしかなくね?

 よく分かってないティナさんとアリスティーさまとメリーマムルさまを見送り、俺は誰も居なくなった教会を再度作り直しした。

 なんせ、二十九柱分だもんなぁ。神像を作るのも大変なんだけど……。

 ……二十九なんて切りが悪いなぁ。なんて少しでも口にすると危険そうなので、絶対に言わないけど。むしろ、こんなに神様抱えて大丈夫なのだろうか……。っていう、不安しか出てこんわ!




 花見はやっぱりゴザだろう。

 日本人の俺としては、ピクニックシートに重箱やオードブルを並べてっていうのをイメージしてしまうので、神様達にとってはなじみがないだろうが、お付き合い頂こうとでっかいゴザを敷いて、四隅にソフトドリンク置いたり、酒を置いたり、あと、女性雑誌を置いたりする。

 食べ物はみんな揃ってからでいいよな。後は、……写真とか取るかなぁ……。せっかくだからみんなで記念撮影とかしたいよな……。カメラ買うか。あ、そうだ。

 俺は思いつくと同時に神様方がいる場所に向かう。

「ビャクコさま、パソノさま、よろしいですか?」

 ラウンジとも言える場所でお二方で何か広げて……って、なんか魔道具分解してるんですけど……。

「ニャ……、これは、む、無駄遣いはしてニャいニャ!?」

「し、知らない魔道具が出てたから、どんな作りなのか探ってただけだもん!」

 ……ああ、俺が渡した大銀貨で買ったんすね。二人で一つ、といった感じか。

「知らない魔道具って、魔道具の神なら知っているのでは?」

 元はどんなやつだったんだろうと、分解された魔道具を眺めながら尋ねる。

「それは誤解ニャ」

「どこにも所属してない子が作ったのなら分かるんだけど、教会所属の子が作るとわからないの」

「この世は弱肉強食ニャ! 神の加護で分からニャいニャ!」

「子供達が切磋琢磨して作った新技術を、使える売れるですぐに真似できちゃったら、自分の所の教団を大きくしたいのに出来ないじゃない」

「だから見知らぬ魔道具を見つけたら、だいたい魔道具の神は買ってこうやって調べるニャ」

「……調べてどうするんです?」

「調べて真似するのは許可されているもの」

 ドヤ顔で言われてもなぁ。

「技術の保護だなんだと言いつつ、調べて真似するのは良いっていうのは、なんだかなぁ……」

「だって良い物だって分かったら駄目だって言われても調べて真似するでしょう? 人は特に」

「作った信徒の奪い合いにニャる可能性もあるニャ」

「だから最初っから真似できたら作って良いよってなってるの」

「魔道具神の神は、むしろ、それを真似されニャいように、分解出来ニャいようにしたり、ダミーの魔力式を書いたりする事ニャ」

「でもそれすらも下位神の時は上手くいかないんだけど、ね。だからこんな風に分解されちゃったりするの」

「ふーん……。ならいっそ、爆発させちゃえばいいのに」

「「…………」」

 何気なく言った俺の言葉に二柱は呆然として見上げてくる。

「どうかしましたか?」

「……さらっととんでもニャい事いったニャ」

「そんな発想、神でもしないわよ」

「……俺らの世界じゃ割と普通ですけどね」

「「なにそれ怖い!!」」

 そう言って驚く二柱に笑ってネット通販でノート型パソコンとデスクトップ型パソコンをそれぞれ二つずつ買って、まずは一セットで置く。

 もっとも段ボールに入っているので、二柱には何がなんだかわからないだろうけど。

「これは俺の世界で仕事とかに使うやつなんですけどね。使えると便利なのでこちらでも使いたいのですが、動力が電気っていうやつで、どうにかできないかなっと」

 段ボールを開けて、まずはノートパソコンを、次にデスクトップパソコンを取り出し、配線等をすませて、二つのコンセント部分を見せる。

「これをコンセントっていう部分にさして、電気をもらって、動かせるんです」

「へー」

「面白いニャ」

 おぉ、ウズウズしてるのがとっても分りやすいな。尻尾がピクピクしてるし。

「ところで、お二方は何を買ったんです?」

「コールニャ」

 ……コールニャ? コール? コールナ? さて、どっちだ?

「呼び出しベルみたいなものなんだけど、なんと半径5メートル以内ならどんなに離れていても、もう一方のコールに、合図が送れて、五文字も文字が送れちゃうんだよ!!」

 目を輝かせるパソノさま。

「へー……」

 生ぬるい目で思わず返事してしまった……。

「む! なによ! その顔!」

「これがあったら教会ニャイでのやりとりも楽にニャるニャ!」

「ああ、確かに、どこにいるか分りませんもんね」

 言いながら俺はファックス機能付きの電話と、ガラゲーとスマホの本体を買うとテーブルに置いた。

「「?」」

 二柱はきょとんとしていた。

 ……電波の説明どうしよう…………。

 俺も買ってから思ったよ。

「じゃあ、みんな帰ってきたらパーティー始めますんで!」

「ニャ?」

「ちょ、これなに!?」

「それは好きに分解していいですよ」

 とだけ言って俺は逃げた。

 転移して、パーティー会場というか花見会場に戻ると、……酒瓶を抱えたオルチさまと、女性雑誌を抱えたビオルマンさまが居た。

 ……何やってんだ、この神達……。

 冷たい眼差しで、そう思ったとしても俺は悪くない。悪くないはずだ。

「何をしておった桐生! 随分と待ったではないか!!」

「桐生チャン! これ! これからアタシが追い求める美の匂いがするワ!!」

「酒じゃろ! これ! 早う早う!」

「…………よく、分りましたね」

 呆れた。いや、だって、呆れねぇ? ちょっと目を離した隙にこんな事になってたら。

「自分の領域内に酒があったら分るに決まっとるわい!」

「そうよ! アタシの美に対する意識を甘く見ないでちょうだい!」

 ……ああ。そうか。そりゃそうだ。俺にも教会内の事がある程度分るんだ。神々に分らないわけがない。

「ビオルマンさまの方は見ちゃっていいですよ。でも、オルチさまは駄目です」

「やったワ!」

「なんで儂は駄目なんじゃ!?」

「減っちゃうでしょうが」

 言いつつ、俺は適当に酒に関係しそうな本を買い、オルチさまに渡す。

「これは異世界の酒に関係するものか?」

「ええ」

 パラパラと見ていくオルチさま。興味があるのかないのか分りにくいそれに、俺は今更ながら気づいた。

「あ、日本語……」

 そうだよ、書かれてるのみんな日本語じゃん。

「ああ、問題ないわよ。桐生チャンと契約した時にある程度の情報は入ってきてるし」

「事実、何人かは、日本語で話しておったぞ。アリスティーんとこのお嬢ちゃんがいない間は、じゃったが」

「あの子も今は普通に読めるし聞けると思うけど」

 ……言われてみたら、さっき名前呼ばれた時、発音しっかりしてたか?

「こういう本でも役に立ちます?」

 試しにって買ったんだよな。少なくとも服が載ってるような雑誌なら役に立つかなとかさ。

「ええ、もちろんよ」

「神酒と違う酒は色々あるからのう。儂らはそれも楽しんでおるが」

「……そういや、酒の神の加護って弱くなると酒が出せなくなるんです?」

「いやそうではない。酒造りが失敗しやすくなる。ただそれだけじゃ。腐敗したり、酸っぱくなったりしての。あれはあれで体にはいいんじゃが」

「ああ、お酢ですか」

「ん? ス?」

「……あれ? この世界じゃお酢ってないんですか?」

「お酢って何かしら?」

 ビオルマンさままで質問してくる。

「……健康と美容に良かったはずです」

 だから最近特に女性に人気の筈。

「なんですって!? ちょっとオルチ! なんでそんなものを独り占めしてるのよ!」

「独り占めなんてしとらんわい! どの酒蔵も捨ててるはずじゃぞ?」

「…………酒しか興味が無いやつは……これだから……」

 がっくりとうなだれるビオルマンさま。

「そもそも、あれを本当に飲むのか?」

「飲むもありますし、調味料にする事もありますね」

「「調味料?」」

 二柱が意外そうに聞いてきた。

「ええ、えーっと」

 この場合、何で紹介したらいいんだ?

 とりあえず、バルサミコ酢と穀物酢か? あ、りんご酢とかもあったよな。

「これが調味料に使う酢で、こっちは薄めて飲むのかな?」

 せっかくだから売り物としての飲む酢も買ってみるか。

 ふじりんご酢とローズベリー酢があったので、それを買ってみる。

「何やってるの~?」

 今度はナベーナさまが来た。

「お酒の失敗したものが桐生の世界じゃ調味料や健康に良い飲み物としてされてるんですって」

「へぇ? 私も興味があるわ」

「あ! 今気づいた! みなさん、靴脱いで! ゴザの上は土足厳禁ですよ!」

 俺が強めに言ったからか三柱は嫌がる事もなく靴を脱いでゴザの外に靴を置いてくれた。

「ナベーナさまが釣れたのはこれですかね?」

「釣るって言わないでよ。たぶん、それだけど」

 調味料の方の酢を上げる俺にナベーナさまは頷いた。

「…………」

 俺はそっと、建築・パソコン・甲虫図鑑・鉱物図鑑・医療・植物図鑑などを買う。表紙で分る限り専門っぽいのを買ってみた。

「……」

 そう待たずにわらわらと神々がやってきた。

 ……そっか。異世界の本って神様ホイホイとして使えるな。

 なんて失礼な事を考えつつ、俺は調子に乗って、楽譜にギター、古武術、伝統工芸、手芸などを置いてみる。

 まだ来てない神さま達は何で釣れるかな。なんて考えて、ダメ元で、海の生き物図鑑、温泉水・体に良い水等の本を置く。

 星空とか……。サラマさまはどうしようか……、いっそ火山……。

 そんな事を考えていると他の神さま達が降りて来た。

「なんかみんな集まってるけど、もう始めるの~?」

 ああ、なるほど。そりゃ、こんなに人が集まってるとそう思うよなぁ。

 あとはもうティナさん達、三人か~。

 ……育児書とヨガの本とか置いてみるか。

 みんなが本をパラ見している横にそっと買った本を混ぜる。

 三分後戻って来た。偶然か、それとも必然か。

「時間、早まったのかしら?」

「何か分からないけど何かが呼んでいる気がするわ!」

 アリスティーさまが首を傾げて一同を見て、メリーマムルさまがきょろきょろと「何か」を探しているので、育児書を差し出した。

「あら、可愛い」

 嬉しそうに育児書を受け取っていた。

「えー、みなさま集まって来たので、パーティー始めましょうか」

 そう声をかけると、神様方の動きが止まり、何故か慌てて、教会内に戻って行った。

 ……何故に?

 置いてきぼりになった気分だった。

 残っていたのは、アリスティーさまとメリーマムルさまトキアカさまの三柱のみ。

 なんだろう、俺、嫌われた? と、思った時、大荷物を持って一部の神が戻ってきて、理由を知る。

 そうか……トキアカさまは荷物なんて俺と一緒で異空間収納で、残りの二柱もティナさんが異空間収納で荷物持ってたのか。

 ていうか、これ、俺が本来みんなの荷物持ちとして一緒に行かなきゃダメだった系?

 いや、無理ですよ? 流石に。何名いると思ってんだよ。

 今、ウチ、二十九だぞ!? 

 結論! 気づかなかったことにする!

 俺はそのまま開いたスペースにオードブルや寿司を置いていく。

 箸は難しいかもしれんからフォークとか出しておくか。

 あと、今は使わないだろうけど、買っておいた化粧品とかも出して隅に置いておこう。

 あ、酢の物系の惣菜ってあったっけ? 調べてみる。

 もずく……。他は無いのか? ……あ、黒酢酢豚がある。それは取るか。あ、マリネもあるな。その三種類を買って、ナベーナさまとビオルマンさまとアリスティーさまの近くに置いてみる。

 こんな処かな。



いつもありがとうございます!

これからもよろしくお願いします。

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