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神に選ばれた俺は  作者: 瀬田 冬夏
俺と神々
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俺とネット通販とがま口

前回のあらすじ。

詐欺にあって文無しになった女神達。

パーティーするから好きな物でも買ってきてとお小遣いを渡すと大喜びで女神達は買い物に行った。

どこの世界でも女ってのは買い物が好きなのだろうか?


 嬉しそうに買い物にいく女神達を見送っていると、トキアカさまが手を差し出してきた。

「なんです?」

「大銀貨」

「その前にトキアカさまが持ってる資金をください」

「えー?」

「『えー』じゃありません。他のみなさまからも貰いました」

「そうか。我らも渡さねばならぬな」

「遅れてすまんかったな」

 そう言ってベロスさまとレオソルンさまが渡してくれたのでトキアカさまもしぶしぶといった感じで渡してくれた。

 ……渡す気がなかったのか、それとも、詐欺師の事があったから慎重になっているのか。理由は分からないが貰ったので良いとしよう。

 俺はまずベロスさまとレオソルンさまに大銀貨を渡した。しかしトキアカさまにはちょっと待って貰う。

「ところでトキアカさま? ネット通販っぽいものは出来るようなんですけどね、表示価格が日本円なんですよ。どうしろと?」

 さっき、待ってる間に試そうとして愕然としたんだ。学生がそんなに金を持ってるわけ無いだろ、と。そこはこの世界の金じゃないのかよ!? って。しかもメニュー画面に残金0円ってなってるし。

 俺の小遣いはいったいどうなったのか。と本気で考えたし、せめてゲームの様に最初に使う金くらい用意しててくれよ! とも思った。

「あ、わりぃ忘れてた。これ、クロ爺から」

 差し出されたのは鴉の刺繍が入ったがま口。

 なんでがま口? って思っては負けだろうか。

「これに金貨入れたらネット通販ってやらの金が補充されるって言ってた」

「……金貨のみですか?」

「金の延べ棒でも良いって言ってたぞ? 銀貨と銅貨はいらないってさ」

「……」

「なんか問題があるのか?」

 ちょっと渋い顔をしていたからか、トキアカさまが尋ねてくる。

「問題っていう程の問題はないんですけどね、どうせなら他の鉱物も引き取ってくれないかなぁ、と思ってさ」

 実は金にならないって思ってるのはこの世界の人達だけで、地球じゃ金になる原石が多い事多い事。

「んー……? 金貨じゃダメなのか?」

「ダメって事はないですよ。出せるなら売りたいじゃないですか」

 そりゃMPみたいなのは使うけどよ。元でタダなら売りたいと思うのがサガじゃね?

「よくわかんねぇけど、クロ爺に聞いてみるよ」

 そう言ってトキアカさまの姿が消えて、次の瞬間現れた。

 ……時間移動使ってるな、絶対。

 ……あ、もしかして最初の俺に話しかけた時も使ってたりしたのか?

 あのタイミングで神々を集めきってるって普通はないよな?

 そんな事を考えていた俺に黒爺と呼ばれていた神が話しかけてくる。

「鉱物を売りたいだと?」

「はい、ダイヤ、ルビー等の地球でもある原石が売れるのですが」

「……白金もあるのか?」

 白金……プラチナの事か。偽銀扱いであれも安いんだよな。

「あります」

「ふむ……。いいじゃろう。価格はこんなもんじゃな」

 そう言ってどこからともなく紙を取り出し、価格を書いていく。書き終わった物を渡されて、俺はしばしそれを見つめ…………。

 ネットショッピングのスキルを発動させ、価格を調べていく。

「…………………………黒爺。足元見すぎじゃないか?」

 金貨と白金は妥当な所だと思うが、それ以外は酷い。半額以下!

 敬語やめるレベルだぞ! コレ!

「それが嫌なら自分で売ればいいじゃろうが」

「売るツテがないから困ってるんでしょうが!」

 ただの学生がどんな理由でダイヤやらルビーやらサファイヤやらを売ってんだよ!

「そんなん、宗教法人でも作って売ればええじゃろ」

「っ!!」

 黒爺の言葉に俺は驚き目を大きく開けた。

「なるほど、それは考えませんでした。分かりました。この値段でいいです」

 白金は交換出来るんだ。問題ない。うん。あれはいくらでも………って? ん? あー……。

 ネット通販部分と、黒爺の値段表を見直して気づいた。勘違いに。

 全然問題無い。俺、キロの値段かと思ってたけど、グラムの値段じゃないか。両方とも。原石がどうのなんて言う必要なかったな。

「白金は一月10kgまでじゃからの」

 俺の考えを読んだかの様に、そんなツッコミが入って来た。

「……了解しました」

 足元見るなぁ……。それとも、俺が知らない神々の取引事情があるのだろうか。

 まぁ、全然いいんだけどな。ほんと。キロで買い取ってくれるのなら。

 俺はプラチナを十キロ、がま口財布に入れていく。がま口のクセして、口が伸びるのは何故だ。いや、理由は分かってるんだけどな。コレも時空のアイテムだから。

 プラチナを全部入れ終えるとネットマネーとして三千七百万円が入金された。

 毎月、これだけ無条件に買い取って貰えるのなら文句なんて出るはずも無い。

 さっき言ってたって? 知らんなぁ。

「とりあえず、これもどうぞ」

 そう言って俺はダイヤの原石を二十個ほど出して、黒爺に直接渡した。

「おかげで助かりました。と、これからもよろしくお願いしますっていう事のお礼です」

 がま口に入れると換金されちゃうからな。

「……どうせならレッド・ダイヤにせんか」

「……」

 俺は無言でもう十個、ご希望のダイヤの原石を出した。

「……本気で用意するとは思わんかったわい」

 とか言いつつ受けとるんすね。

 金が入ったので、俺は地球の酒(知ってたけどマジで高いものは高い!)と、化粧品系と(……化粧品って高いんだな。普通に万で飛ぶのがあるんだけど……)ケーキやピザ、サイドメニューなどを注文していく。寿司も注文できるのか。寿司もしよう。あとは雑誌かな。美容とか洋服とか。レシピも有りだな。

 今回はパーティーっていう事もあるけど、異世界の物を紹介っていう意味合いが大きい。

 こっちの世界と地球とを比べて通用できる物があるのなら通用したいってのもある。

「豪快に使ったもんじゃの」

 確かに半分は使ったから、豪快にと言えるだろう。そう言って黒爺が買った物を差し出してきた。

「……黒爺が持ってくるの? コレ」

「いや、わしがこっちに居ったから出しただけじゃ。普段はそのがま口から出てくるぞ」

「そっか。なら良かった」

 流石に毎回配達とかさせるのはちょっと。

 受け取った料理を俺は即座に自分の異空間に移す。これで、熱々のものは熱々で食べられるし、寿司の鮮度も落ちる事はない。

「今後儂に用事があるのなら、そのがま口に手紙でも入れるとええ。自分の神を毎度パシリにするでないぞ」

「はい」

 頷くと黒爺は消えた。そして俺はやっと、ずっとお預けにしていたトキアカさまにきちんと大銀貨1枚渡した。

「色々ありがとうございます」

「おうよ! ま、俺様は寛大だからな!」

 腕を組んでのドヤ顔。ちょっと前までならイラッときたのだろうが今はそんな事を思う事はなかった。

 こっちの世界でも、あっちの世界でも大金入ったしな! 懐が温かいと心も温かくなる。

「それと悪いのですが、もう一つ、お願い事が」

「えー? お前、ちょっと俺様を使いすぎじゃね?」

「例の詐欺師の事なんですが」

「ああ……」

 トキアカさまは、用件を理解したのだろう、後ろで待っていてくれた二柱を見た。

「あの場であれ以上言うのは我も止めていたが、ゴルドーガルゼフに知らせる分には問題ないのではないか?」

「同感だ」

 ベロスさま、レオソルンさまが俺の意見に賛成してくれた。

「じゃ、知らせてくる。しっかし、お前変な風に能力開花させたよな」

 トキアカさまが笑いながら消えた。やっぱトキアカさまから見てもそう思うのか。

「では、我らも行くか」

「オルチが酒を買ってくるであろうから、ワレはつまみを買ってこようぞ」

 ベロスさまもレオソルンさまも立ち去っていく。

「行ってらっしゃいませ」

 俺は二人を見送り、ギルドホールへと戻って行った。

いつもありがとうございます。

ずっと1話はだいたい何文字ぐらいが良いんだろうかって考えてたのですが、

調べてみたら3000~6000文字ってあったので、

なるべくそれで区切るようにしてみたいなぁって思いました。

なのでいつもに比べたら短めです。


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