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神に選ばれた俺は  作者: 瀬田 冬夏
第2章 人の想いと神の想い
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本日も快晴なり。



 頬杖を突きながらマウスをカチカチと動かす。

 俺の顔からはやる気という物は見当たらないだろう。

 むしろ、呆れの方なら見当たるかもしれない。


「普通さ、商人って情報は命なんじゃないの? バカなの?」

「零細企業に大企業の余裕ってのを見せたいんじゃないか?」

「もう一度説明し直しとくか?」


 俺の言葉に、駿兄貴と千影が答えてくれた。

 

「大企業の余裕ねぇ……。その余裕はありがたく、スタッフのみなさんにボーナスとして出すとして……。説明すべき? やっぱり……」

「さすがに、そろそろ、バカに一言くらいは言っておいた方がいいのでは、と思いもするが」

「お前が金の有る所からむしり取りたいって思っているんだったら黙っててもいいとは思うが」

「兄貴、俺、そこまであくどくないぞ……」


 俺はため息をつく。


 なんの話かっていうとさ。グランドオープンで新しく商人ギルドに登録した商人の方々が、こっちの説明聞いてた? 説明書読んだ? っていうような事やらかしてくれてるんだ。

 冒険者ギルドでは、クエスト品以外のモンスターとかの素材とかも買い取ってんの。今出されてるクエストと、処理中で今から出されるクエストにそれがあったら、冒険者にはそのクエスト代のポイントと金額を払う。それ以外は単価(決めたよ!)に合わせて量り買い取りなんだよ。

 で、100ゴルドーで、1GP付くし、冒険者袋にはまだみんなそんなに余裕ないから結構さくさくっと売ってくるんだよ。前は荷物の関係上、本当に魔石とか人気のある素材のごく一部しか売ってなかったけど、今だとモンスター丸ごと持って帰れるから、前よりも儲かるって、わりと本当に冒険者のみんなサクサク売ってくれんの!

 で、キリュー教はそういうクエストになかった買い取り品は、商人ギルドに登録して人たち向けにオークションしてる。

 オークションのスタート金額は買い取り金額。

 クエスト出すよりは安い。でも必ず手に入るかは分からない。ってな感じでね。

 だからさ……プレオープンの時だったらいっても、クエスト代までには行かなかったんだよ。

 そこまで言ったら、クエストを出した方がいいんだ。それが相当レアで次いつ出てくるか分からないってんなら話は別だけど。そうじゃなかったらクエスト出した方が良いんだよ。本当に。二度いってるよ? 大事だから。

 だって、商人ギルドでポイント付くのって、基本それだから! クエスト1つに付き1GP。高くても安くても同じ。

 ポイント欲しかったらクエスト出すか、ゴルドーで買ってくれ。って感じなんだ。

 なのに、さっきも言ったけど、最近登録したやつらは、ドヤ顔で高額でオークション品落としてくんだよね……。確かに今まで荷物の関係上で、魔物の皮とか、そんなに出回らなかったかも知れないけどさ、今そうじゃないから。って、言いたくて仕方が無い!

 いや、言ったらしいんだけどね。クエストを利用してみてはどうでしょうか。って。

 出したところでこれほどの良品がいつ入ってくるか分からんだろうって。返されたらしい。

 思わずそんなに良い品だったの? って聞いたけど。普通でしたって返ってきたよ。

 つまり、彼らが知ってるのは狩人事情で、冒険者事情じゃないんだよねぇ……。


「っていうか、このままだったら、商売繁盛どころかぼったくりって言われてしまう……」


 俺は頭を抱えたい。いや、抱えた!


「誰だ! スカイルプレーの骨に3万ゴルドーも払った大馬鹿は……」


 オークションの結果を見ながら俺は思わず唸る。


「……スカイルプレーの骨は……、クエストで発注したら……。500ゴルドーか。確かにぼったくりだ」


 これは駄目だ……。今まで出てくる事のなかったモンスター達の素材に浮き足立ってるとしか思えない……。


「オークション入る前にクエストだと相場はいくらですって一言入れるように案内入れて貰って……」


 千影に指示を出すと、千影は即座に全員にメールを送ってくれた。

 駿兄貴は一応念のためにとこうなっている原因を調べると言っていた。

 

「駿兄貴~。誰か経理担当雇おうぜ~」

「この世界の人間雇え。いろいろ面倒になるから」

「なるほど! クエスト発注すればいいのか!」


 ぽんっと手を叩いたら、違うだろって突っ込まれた。


「リスト辺りに聞いてみろ」

「ああ、そういう人脈もありましたね、うち」


 あいつ王族だもんなぁ。

 貴族で余ってる優秀な人って教えてくれるかなぁ。

 優秀だったら余ってないって言われそうだけど。余ってる可能性はあるもんなぁ。……でも。


「でもキリュー教としては、クエストを発注するのが正しいのでは?」

「両方で雇えば良いだろ。人手はいつでも足りん!」

「うん……。確かに足りんわ……」


 フトクリムでの活動もあるし。あの三人頑張ってるかなぁ……。何も連絡こないけど。

 なんというか……泣き言を言う暇すら無いっていう感じがひしひしってするんだけど……。


「俺、……ホワイト企業にしたかったはずなんだけどなぁ……」


 なんでこうなったんだろ。っと思わずため息をついた。


「とりあえず、ピエールにはマジで分身の術を覚えて貰いたいと思う今日この頃」

「じゃあ、『頑張れピエール君』の分身(希望)ネタはアップするって事でいいいんだな?」

「おう」


 千影の言葉に俺はこくりと頷く。


「……お前ら、学校ではきちんと勉強しろよぉ……」


 駿兄貴の言葉は聞こえない。俺たちが今、自由に使える時間って、まじめに学校にいる間の休み時間だからな! 授業だって使えるタイミングがあれば使います!


 四コマをサイトに上げる余裕があるのなら、ミュークさまの新しい歌を~ってなるのかも知れんが、そこはあえて無視してっと。

 ん? どうやら噂をしていたからか。ピエールがやってくるようだ。


「……ピエールが百人ほど分身してくれたらいろいろ楽になるよな」

「間違いなくなるな」


 扉がかすかに開いた瞬間に俺はそんな事を言い、千影も頷いた。

 半端なところで扉を開けたまま、俺の言葉が耳に入ったのであろうピエールは茶封筒を持ったまま固まっていた。


「ピエール。分身ネタで、本当に分身出来るようになるといいな。百人ぐらい」


 俺が良い笑顔で言うとピエールは慌てて再起動した。


「や、やめてくださいぃいいー! 神にも過労はあるんですぅう!!」

「過労()はないから大丈夫だ」


 俺はドヤ顔で言い切った。

 ピエールは白く燃え尽きたように床に両手と両膝をついた。そんな俺らを見て、兄貴と千影は「ブラックだ」とか「社畜の仲間入りだな」とか言ってたが俺の耳にはそんな言葉入ってこなかったぞ、うん。


 いろいろあったが、とりあえず、俺たちこんな感じで元気にやってます。



 


前回ので二章終わりにして、この話からは三章スタートにしようかなって思ってたのですが、

こっちを二章終わりにしようかな。と。

内容的にも三章よりも二章の方が関係あるし、と。

なのでものすごく短くなってしまいました。ごめんなさい。

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