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花咲くハルに逢う  作者: 直弥
第一章「最後の青春」
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その2

 錬がキレていた頃、カンフー・バーガー〝大和軍第四室作戦部支店〟にて。

軍服姿の成人男女たちで盛況する店内に、明らかに浮いている二人組の姿があった。

「うん! やっぱりカンフーは大和に限りますね。ナルナのカンフーにはこの『ナシゴレン風ライスバーガー』が無いですもん。この味……『ああ、大和に帰って来たんだ!』って感じがします」

 様々な食文化の融合品を幸せそうに頬張っている、お団子頭(両把頭)の少女。口元の米粒のせいか、小麦色に焼けた肌のお蔭か、或いは同世代の他の女の子より貧しい胸のためか――キャミソールかと見紛うほど大胆に素肌を露出したワンピースを着ていても、エロチックな雰囲気よりもむしろその対極、子どもっぽささえ覚える健康美を感じさせる女の子。彼女と向き合ってアイスコーヒーを飲んでいる老年の男性が一人。彼こそ、武猪悠真の実の祖父にして、かつての英雄。そして、現大和軍第四室対霊魔作戦司令、武猪洋祐である。

「何というか。相当腹にずしりと来そうなメニューだが、食べきれるのかい?」

「大丈夫ですよ。十個までなら食べられます!」

「はは、そうかい。まあ、好きなだけ追加してくれても構わんよ」(この食べっぷりを見る限り、〝十個〟というのも、あながち大仰に聞こえんな)「そう言えば。最初の予定より遅れてしまって、すまなかったね。本当なら今週中にでも手続きを済ませたかったんだが」

「いえいえ、問題ないですよ。わくわく出来る時間がちょっと伸びたと思えばいいだけのことですから」

「そう言ってくれると有難い」

 中身が氷だけになった紙コップをテーブルに置いた洋祐は、感謝の意を込めて述べる。

「ふふふっ。今から月曜が楽しみです! 約束通り、ちゃあんと、あの二人にはまだ秘密にしておいてくださいね? 学校で驚かせたいんですから」

「ああ、分かっているよ。静香ちゃん」

 ストローで氷をかき混ぜながら、洋祐が言った。


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