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綺石のクラウン  作者: もももか
第十章 『セラフィナイト』
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VI

「そんな訳ないでしょう」

同じ頃、サンドライト城で全く同じ話題を振られたセラフィナイトは冷めた眼差しで元老院の若衆たちに言ってのけた。

「私は陛下をお守りする身。サンドライト王である陛下の交友関係に目を光らせるのは当然のことです」

「で、ですよねー!」

「さすがはセラフィナイト様!」

ぎこちなく笑ってやり過ごそうとする元老院の若衆だったが、セラフィナイトの鋭い眼光に咳払いをし、申し訳ありませんでしたと頭を下げた。

連日の軍議の合間にも、サンドライト内の情勢を纏める会議も行わなければならない。

騎兵団団長であり、アレキサンドライト一番の側近のセラフィナイトも会議に参加し、ちょうど話が纏まり一息吐いていた所であった。

「でも、陛下があのように誰かと街へ出かけたいと申されるとは珍しいですな」

違う元老院の大老が机に広げられていた資料を纏めながら言う。

「思えば幼い頃に母君を亡くされてから初陣、それから戦の連続でしたから」

「そういう意味では陛下も心にゆとりができたのかもしれませんな」

「寂しいお気持ちはセラフィナイト様にもあるのではないですか?」

一人の大老に投げかけられ、セラフィナイトは一つ間を空ける。

「そんな気持ちだけでしたら問題ないのですが……」

気がかりな事があった。

以前庭で見た黒い紙切れ。

それを明らかに隠そうとする行為。

それ以外にも、最近疑わしい理由でよく怪我をしている。

理由を問えば目を逸らす。

自分の知らない所でアレキサンドライトが何かを隠している。

そう思わずにはいられなかった。

「陛下も変わられましたな」

「ルーベライト様が参られてから前より穏やかな目になってるような気がします」

ルーベライトがこの城に住まうようになってから良い意味でも、悪い意味でもアレキサンドライトは変わった。

誰も気付かない僅かな違和感。

誰よりもアレキサンドライトを近くで見てきたセラフィナイトは、確かにそれを感じていた。

ルーベライトが来てから……

「ルーベライト姫に親善大使をお願いしたのはセラフィナイト様でしたね」

「あの堅いアイオライト様とも、ラズライトとも、以前より親睦が深まり良き判断でしたな」

「……このまま良い状態が続くといいのですが」

未だ世界は揺れつつある。

この乱世を生き延びるためにも、サンドライトを繁栄させるためにも、アレキサンドライトはなくてはならない存在だ。

何があっても、彼だけは守らなければいけない。

アレキサンドライトが国と民を守るように、アレキサンドライトを守るのが自分の使命だ。

今頃は祝日の大通りを楽しんでいるであろう主君を想い、セラフィナイトは窓辺から見える城下街を見下ろした。

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